小児総合診療医のひとりごと

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IgA血管炎の小児と成人の違い

IgA血管炎は、IgAを含む免疫複合体の沈着を伴う全身性の小血管炎で、血小板減少および血液凝固異常を伴わない紫斑性皮疹が出現する。IgAにはIgA1とIgA2の2つあり、その内IgA1のみが関与する。

皮膚症状はPalpable purpura、丘疹、紅斑、膨疹、血管浮腫であり、成人では血疱や潰瘍形成も多くみられる。〔日本皮膚科学会雑誌:127(3). 299-415.2017

 

小児では年間8~20.4人/10万人、成人では1.3人/10万人である。小児IgA血管炎(20歳未満)は、男女比:1.2-1.6であるが、成人の男女比は同等だった。腎疾患のは小児30-40%、成人45-85%で成人に多い。年齢は、2.5歳~88歳まで報告があり、平均年齢は小児:6.89±3.69歳、成人43.5歳±18.6歳だった〔J Korean Med Sci. 2014 Feb;29(2):198-203〕。

 

<15歳未満の年齢分布>〔Asia Pac Allergy. 2014 Jan;4(1):42–47〕

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【原因】〔J Korean Med Sci. 2014 Feb;29(2):198-203

発症は、春と冬に多い。成人は、悪性腫瘍や薬剤によるIgA血管炎の頻度が小児より高い。

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過去に報告された原因〔Pharma Medica.Vol.26 No.5 2008〕

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【小児と成人例の比較】

<小児と成人の症状>〔Pediatr Neonatol. 2009 Aug;50(4):162-8〕

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腹痛と発疹の間隔は1-21日までの範囲(中央値:8.3±5.52日)であった。

血尿の出現は小児で第1週間目33%、2週目67%、成人で2週以内34%、5週以内67%であった。

小児では腹痛が発疹に先行することが多い(腹痛が先:小児 24.6% 成人 4.55%, P<0.05)。

<IgA血管炎のの初発症状>〔Asia Pac Allergy. 2014 Jan;4(1):42–47〕

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<小児と成人の検査結果>〔Pediatr Neonatol. 2009 Aug;50(4):162-8〕

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白血球数は小児例で優位に高い。

 補体低下、IgA上昇、抗核抗体陽性率は成人例で高いようにみえるが、有意差なし。