小児総合診療医のひとりごと

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Case8. 眼球エコーの重要性. 左眼痛と複視を認める15歳([Ann Emerg Med. 2021;78:567)

症例:Ann Emerg Med. 2021;78:567

15歳の少年が、左眼痛と複視で受診した。痛みは眼球運動で悪化する。

眼球エコーで左眼(A):0.4mmの視神経乳頭隆起、5.4mmの視神経鞘径の拡大あり。右眼(B)は正常だった。

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診断は?

視神経炎

眼底検査で左視神経乳頭浮腫、MRI T2 / FLAIR高信号の異常肥厚あり。

患者は、メチルプレドニゾロン静脈内投与を5日投与し、眼痛と複視は改善した。

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  • 視神経炎は、視神経の炎症性脱髄障害で。単独または多発性硬化症視神経脊髄炎など、他疾患とともに発生しうる
  • 眼球エコーは、①視神経乳頭の隆起、②視神経鞘の拡大 で検出可能。
  • 1-15歳は、4.5mmを超える視神経鞘の拡大は異常と見なされる。
  • 小児の視神経乳頭隆起の基準値は報告がないされていない。
  • 非対称の視神経乳頭の隆起・視神経鞘の拡大は、正常眼球と比較することが重要で、視神経炎の診断に有効である

眼球エコー

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眼球エコーの疾患別の所見まとめ

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