小児総合診療医のひとりごと

小児科, 総合診療科(家庭医療), アレルギー についてのブログ

感染

犬や猫咬傷の原因細菌と、抗生剤選択について

動物咬傷について ・動物咬傷は、猫と犬によるものが多く、感染した創部には複数の細菌が関与するため、好気性菌と嫌気性菌の混合感染を考慮する必要がある(1)。 ・生物の口腔内に多く存在する嫌気性菌は、Prevotella 属、Porphyromonas 属、Fusobacterium…

小児と成人のコロナウイルス感染まとめ(小児と成人の比較、川崎病様のコロナ感染)

【今日の内容】 ●l小児と成人におけるCOVID-19の特徴を整理する ●COVIDー19の検査適応を知る ●MIS-C(川崎病様コロナ)を知る ●COVID-19の小児例は 呼吸器障害以外に、川崎病や心筋障害に注意する 新型コロナウイルスについて 新型コロナ感染経路 新型コロナ…

コロナウイルスにおける科学的なマスクの効果

ウイルス感染における サージカルマスク着用と、飛沫やエアロゾルのウイルス検出量について Respiratory virus shedding in exhaled breath and efficacy of face masks. Nature Medicine 2020. 4. 3 published https://www.nature.com/articles/s41591-020-…

小児における新型コロナウイルス(COVID19)の臨床的特徴や症状、成人との比較

COVID-19小児例の臨床的特徴 Lancet Infect Dis. Published online March 25,2020. https://www.thelancet.com/journals/laninf/article/PIIS1473-3099(20)30198-5/fulltext 背景 2020年1月17日から3月1日までの間に、寧波と温州(中国、浙江省)で661例のCO…

ヒトメタニューモウイルスの臨床症状、検査所見

hMPV(ヒトメタニューモウイルス)について 2001年にRSウイルスと類似した呼吸器症状を引き起こすウイルスとしてオランダ研究グループより発見された。hMPVは培養が難しく、それまで発見されていなかったと推測されている。 エンベロープを有し、パラミクソ…

感染性ぶどう膜炎

ぶどう膜炎のカテゴリーとして感染症・眼病変・全身性免疫性疾患がある。■感染症原因■①細菌性/スピロヘータ 非定型抗酸菌・ブルセラ・猫ひっかき病・レプロシー・レプトスピラ・Lyme病・プロピオンバクテリウム・ロッキー山紅斑熱・梅毒・結核・Whipple病②ウ…

伝染性膿痂疹(疫学、原因、診断、治療)小児から高齢者まで

Impetigo Up to dateより抜粋、last updated:Sep11, 2016. <膿痂疹(Impetigo)の一般事項> ・膿痂疹は、小児で最もCommonな表在性細菌感染症、全年齢でおこる ・感染は暖かい、湿った状態で起こりやすく、密接な接触で広がる ・危険因子に、貧困、不衛生…

急性細気管支炎での吸入は生理食塩水と高調性食塩水どちらが有益か?

Effect of Nebulized Hypertonic Saline Treatment in Emergency Departments on the Hospitalization Rate for Acute Bronchiolitis: A Randomized Clinical Trial JAMA Pediatrics 2017June 5 【背景】急性細気管支炎における高張食塩水吸入の有効性につい…

百日咳の診断と治療、免疫グロブリン製剤

『Up to date, 乳幼児の百日咳の治療と予防』 ・幼児は、重症合併症(無呼吸、肺炎、呼吸不全、痙攣、脳症)を発症し得る。 ・咳発作のトリガー(運動、寒冷温、鼻汁や喀痰の吸入)は避ける。 ・系統的レビューで、気管支拡張薬、コルチコステロイド、抗ヒス…

小児における市中C. difficile感染症

Risk Factors for Community-Associated Clostridium difficile Infection in Children J Pediatr 2017;186:105-9 小児入院患者でCDIは増加し、死亡率の増加や入院期間の延長・入院費用の増加を招いている。近年では成人および小児において市中感染が増加し…

Up to date:クループ症候群のマネージメント

クループ症候群のマネージメント Up to date 『Croup: Approach to management』 Literature review: Mar 2017. 大切なところだけ抜粋 【はじめに】 クループは、吸気性喘鳴、犬吠様咳嗽、嗄声を特徴とした呼吸器疾患である。 典型的には6か月から3歳までに…

PCT高値は菌血症の診断に役立つか?

菌血症診断におけるプロカルシトニンの有効性の検討 日集中医誌 2017;24:115-20 【目的】菌血症におけるプロカルシトニン(procalcitonin, PCT)の初期診断での有用性について、後方視的に解析した。 【方法】2012年11月から2013年6月までの8ヶ月間において…

クループの治療(ステロイド吸入・内服併用に意味はあるのか?ステロイド投与量で効果に違いはあるのか?)

『ステロイド吸入単体・内服単体・吸入内服併用に効果の差があるか?』 結論→ステロイド単剤・ステロイド吸入・両者の併用療法の効果に有意差なし Nebulized budesonide and oral dexamethasone for treatment of croup: a randomized controlled trial. JAM…

伝染性単核症の症状、検査、診断、合併症、抗体

Infectious Mononucleosis(伝染性単核症) Katherine L, et al. NEJM 2010;71:1993―2000. 純粋なEBV感染は人間にしか起きない。 多くはEBウイルスの初感染で起こるが、CD3モノクローナル抗体が枯渇した慢性感染症の患者にも認める。 全世界の95%以上の成…

B型肝炎について

B型肝炎のワクチン接種が2016年10月から1歳になるまでの小児に定期予防接種化された 小児B型肝炎診療指針と日常診療 日本小児感染症学会シンポジウム2009 B型肝炎では、C型肝炎と異なり小児でも肝硬変や肝細胞癌が発生する例があり注意深いフォローが必要。B…