小児総合診療医のひとりごと

小児科, 総合診療科(家庭医療), アレルギー についてのブログ

研修医レクチャー

気管支軟化症(診断基準や重症度、合併症について)

主に、 『ERS statement on tracheomalacia and bronchomalacia in children. European Respiratory Journal 2019 54: 1900382』から抜粋 【参考文献】 主にEuropean Respiratory Journal 2019 54: 1900382 小児耳鼻咽喉科 2017;38(3):282-290 Tracheomalaci…

咽頭の解剖(咽頭炎・扁桃炎・深頸部感染の関係)

深頸部感染 深頸部感染症は、頸部に存在する頸部間隙を経由して発生するため、頸部間隙について理解することが必要である。 咽頭炎・扁桃炎と副咽頭間隙・咽頭後間隙の関係 咽頭炎はCommon diseaseの1つだが、咽頭炎⇒扁桃炎から、頸部域の間隙に炎症が進展し…

こどもが窒息したときの応急処置

こどもが、窒息したかも!? 息苦しそうな様子があれば、急いで下記を実行してください。 『本当にやっていいのか?』そんな事を迷う暇はありません! すぐ、やってください! 窒息の応急処置 時間があればパンフレットを読みましょう。 日本小児呼吸器学会…

咽頭痛

咽頭痛の鑑別診断 5Killer diseaseをまず除外!見落とすと短時間で死にます。 フレームワークで鑑別をすすめる。 5 Killer diseaseとは 急性喉頭蓋炎 唾液の嚥下障害、流涎、こもった声(Muffled voice)、Tripod positionが出現する。 咽頭所見は正常、な…

若手医師向け アナフィラキシー勉強会

20210711 若手医師勉強会『アナフィラキシー』 ~できる初期研修医と指導医を目指すために~

腸重積の整復(空気整復)と院内プロトコル

当院は長年勤務している年配の小児科医師1名、1-2年周期で交代する若手医師1名の2名体制ですが、腸重積のプロトコルもなく、整復方法は、インターネット上にも、あまり記載してくれていないです。 当院は人手がないので、手技中の超音波担当者の確保が難しく…

虫垂の描出法

小児虫垂炎の検査制度 診断精度 感度 特異度 エコー 88% 94% CT 94% 95% Pediatric Appendicitis Score 項目 スコア 咳嗽/打診/跳躍時の右下腹部痛 2 食欲不振 1 発熱(38度以上) 1 嘔気/嘔吐 1 右下腹部の圧痛 2 白血球>10000/µl 1 多核好中球数>7500/…

肺高血圧の病態、超音波検査、診断法(+α 新生児遷延性肺高血圧の治療)

肺高血圧症 ・成人での肺動脈圧正常値:一般に『収縮期圧30~15mmHg、拡張期圧8~2mmHg、平均圧18~9mmHg』 ・肺高血圧の定義:安静時右心カテーテル検査で肺動脈圧の平均値が25mmHg以上 ・『収縮期圧で30mmHg以上、平均圧で20mmHg 以上の肺動脈圧』は肺高血…

(小児の)Point of care Ultrasound(特に、気胸の肺エコー)

2017年秋に受講した(特に小児における)Point of care ultra soundの要旨を15分で理解するための復習とまとめ JSPICC 日本小児集中治療研究会が実施するPOCUセミナーは極めて実施臨床に則した有用なセミナーで、大変勉強になった。 PALS 2次評価時に導入す…

時間がない急性心筋梗塞の対処(初期評価、検査、診断、治療)

短くまとめた急性心筋梗塞の対処まとめ(診断、治療) 院内勉強会の内容を整理 ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン(2013年改訂版)より一部引用 1 発症から病院まで 急性冠症候群が疑われる患者にニトロ投与を指示 (ニトロペン0.3㎎1錠舌下…

小児の酸素化目標値はSPO2何%なのか?

Oxygen saturation targets in infants with bronchiolitis (BIDS): a double-blind, randomised, equivalence trial Lancet 2015; 386: 1041–48 【背景】 細気管支炎では2006年にUK Sign GuidelineではSPO2≧94% American Academy of Pediatricsでは(WHOも…

昇圧剤:(ショック時の昇圧剤は)ドーパミンとノルアドレナリンどちらが有益か

ドーパミン使用は、不整脈の出現率がノルエピネフリンより高く、かつ心原性ショックにおいては死亡率の上昇に関与している Comparison of Dopamine and Norepinephrine in the Treatment of Shock N Engl J Med 2010; 362:779-789 背景: ドーパミンとノルエ…