小児総合診療医のひとりごと

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PFAPA症候群(検査、治療)

 

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検査

PFAPA症候群に特異的な診断検査はない。診断は、病歴と身体所見に基づいて行われる。

免疫グロブリン:発作中はIgDが、高IgD症候群のレベルまではないが、優位に上昇しうる。

プロカルシトニン:発作中に増加しない。これは、PFAPAの患者に特有で、Evidenceはないが、PFAPAの発作と急性細菌感染の区別に役立つ可能性がある。

抗核抗体:健常小児と同様に1/30の頻度でみられる。

ちなみに、PFAPA症候群では抗原提示細胞およびCD4 陽性T細胞の活性化がみれれ、発熱の発作時はIFN-γ、TNF-α、IL-6、IL-18が上昇することが指摘されている。

私見:なお、特異的な診断検査がないと書かれてはいるが、下記の症例のように、サイトカインプロファイルを指導医から提出するよう求められることが多い

周期性発熱で PFAPA 症候群と診断後,扁桃摘出術を施行し軽快した症例

 

検査例

1:十分な問診(発熱期間、随伴症状、家族歴、出生地等)
2:咽頭培養検査
3:血液検査
 a)血算、白血球分画
 b)生化学一般、赤沈
 c)CRP、血清アミロイドA
 d)免疫機能(IgG、A、M、D、CD4/8)
 e)補体価
 f)抗核抗体・各種自己抗体
 g)プロカルシトニン
 h)各種サイトカイン
 i)血清亜鉛
4:ウイルス検査(EBウイルスアデノウイルス
5:検尿・検便
6:各種画像検査
7:他疾患との識別が必要な場合には遺伝子検査

鑑別が必要な疾患
1:他の自己炎症疾患との識別(FMF、TRAPS、HIDSとの識別が必要)
2:周期性好中球減少症
3:全身型若年性突発性関節炎
4:ベーチェット病
5:その他(クローン病感染症、習慣性扁桃腺炎など)

 

治療

・NSAIDs

多くの場合有効性が一過性か、無効が多い。

 

タガメット(一般名:シメチジン)
H2ブロッカーに分類される薬。Th1へ過剰に傾いた免疫をTh2へ戻すような免疫調節作用があり、20〜40mg / kg /日を12時間毎(最大用量1200mg/日)に通常は投与する。内服を開始後、通常は6〜12ヶ月後に中止する。患者の約1/4 (24〜27%) は発熱エピソードが無くなり、24〜32%が症状頻度または重症度が改善する。

・副腎皮質ステロイド
発熱発作の初期にプレドニンを0.5~1mg/kgを1回ないし2回投与すると、12~24時間以内に症状が70-80%で劇的に改善する。有熱機関の短縮効果はあるが、発熱の反復を抑えることができず、発作間隔が短縮した結果、次の発熱が早くする発来する問題点がある。

・コルヒチン 
家族性地中海熱や痛風に使われる薬ですが、PFAPAに対しても有効性を訴える報告がある。(9例にコルヒチン0.5-1㎎を6-48か月投与して8割で発熱間隔が延長した)

 

扁桃摘出術、アデノイド切除術 
内服薬を使用しても症状が改善しない場合に、外科的切除を行う。60%以上に効果があるが、再発することもある。

 

参考文献:

1)自己免疫性疾患診療ガイドライン2017

2)塚原 晃弘ら, 小児期に発症し30年以上の経過の後に診断に至ったPFAPA症候群の1例. アレルギー 2020;69(1):53-58

3)村田 卓士ら, PFAPAの診断と治療. Jpn J Clin Immunol. 2007;30(2):101-107. 

4)Feder, H, et al. A clinical review of 105 patients with PFAPA. Acta Pædiatrica 2010;99: 178-184.