小児総合診療医のひとりごと

小児科, 総合診療科(家庭医療), アレルギー についてのブログ

小児における新型コロナウイルス(COVID19)の臨床的特徴や症状、成人との比較

COVID-19小児例の臨床的特徴

Lancet Infect Dis. Published online March 25,2020. 

https://www.thelancet.com/journals/laninf/article/PIIS1473-3099(20)30198-5/fulltext

 

背景

2020年1月17日から3月1日までの間に、寧波と温州(中国、浙江省)で661例のCOVID-19が報告され、うち小児例(0-16歳)は36人(5%)であった。36例の陳勝的特徴を報告する。診断は上咽頭ぬぐい液のRT-PCRを用いた。

 

結語

CTで肺炎像があった19人、無症候性や上気道炎の17人を比較した。

肺炎を有する症例は、リンパ球減少、高体温、プロカルシトニン高値、D-dimer高値、CK-MB高値が見られた。

 

重症度は下記で定義

軽症

Mild

中等症

Moderate

重症

Severe

致死的

Critical

上気道症状のみ

軽症の肺炎

肺炎+重症所見

呼吸窮迫

低酸素血症

意識障害なし

心筋障害

肝機能異常

DIC

横紋筋融解など

呼吸補助を要する敗血症性ショック

ICU要す臓器障害

 

 

○重症度別のコロナウイルス感染による臨床症状

 

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感染経路

32人(89%)が両親からの伝番感染

12人(33%)が流行地区への曝露

重症度

軽症(17人、47%)、うち無症状は7人(14%)

中等症(19人、53%)

重症や致死的例なし

症状

37度以上の発熱(36%)、乾性咳(19%)、咽頭痛(6%)、嘔吐と下痢(6%)、多呼吸(3%)、咽頭発赤(3%)

検査

肺炎を有すると、有意にリンパ球減少・高体温・PCT高値・Dダイマー高値・CK-MB高値 が見られた

 

○小児と成人の臨床症状の比較

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成人と比較し小児は、症状が軽い

リンパ球・白血球減少、心筋酵素上昇の有病率は同じ

            小児  成人

発熱     36%  86%

咳      19%  62%

肺炎       53%  95%

CRP上昇     3%  49%

重症例     0%  23%