小児総合診療医のひとりごと

小児科, 総合診療科(家庭医療), アレルギー についてのブログ

ミタゾラム経鼻投与について(有効性、投与量、投与器具など)

小児てんかんのけいれん重積に対するmidazolam点鼻投与の有効性と薬物動態に関する検討

脳と発達 2010;42:34-36

 

背景:

小児けいれん重積に対するガイドラインが提案され、血管確保が困難な症例に対するミタゾラム鼻腔/口腔な投与が明記された。

目的:

小児てんかんのけいれん重積に対するミタゾラム点鼻投与の有効性と薬物動態を検討した。

方法:

けいれん重積発作の既往があり、ジアゼペム投与 (静脈もしくは坐薬) が無効であった症例を対象(年齢11か月~10歳、平均3.4歳、計14例)とした。

点鼻投与はドルミカム®を原液のまま必要量を片側鼻腔に半量ずつ鼻腔内に投与し、点鼻投与した10分、20分、60分後のミタゾラム血中濃度を測定した。

(投与量は0.1-0.3㎎/㎏を目安に、血管確保が困難な場合は追加投与を行った。)

 

結果:

MDL点鼻投与は有効性が高く (完全止痙 : 65%)、速効性 (平均5.7分;1~15分) があった。

 

今回の投与量 (平均0.26mg/kg) では呼吸抑制は認めず安全性が確認できた。(ミタゾラムの投与量は、0.11~0.9㎎/㎏で1例のみ血管確保に長時間を要し結果的に総投与量が0.9mg/㎏になった)

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経時的な濃度測定が可能であった症例では、10分以内に急速な血中濃度の上昇が認められた。 投与方法が簡単で安全に使用できるため、小児救急現場において有用な手段と考えられた。

 

鼻腔噴霧器具:

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ミタゾラム:

半減期は約1時間で、CYP3A4が関与する肝代謝、点鼻投与は鼻粘膜から直接体内循環に入り肝臓で初回通過効果がないため、速やかに血中濃度が上昇する。成人ボランティアでの比較では点鼻と静脈注射ではピークに達するまでの時間はほぼ同じである。点鼻による最高ミタゾラム濃度は、経静脈投与の約半分である。