小児総合診療医のひとりごと

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錯乱型片頭痛(Acute confusional migraine:ACM)

錯乱型片頭痛(Acute confusional migraine:ACM
臨床脳波 48(10), 609-614, 2006-10より

 

・1970年にGasconらによって最初に報告された。
・典型的な前兆、頭痛とともに錯乱、興奮、言語障害、記名力障害(意識障害)などを一過性に示す頭痛である。
・1987年にPietriniらが臨床的特徴として、以下7点を挙げている。
①患者および家族片頭痛の既往がある
②錯乱状態に伴う片頭痛
③発作中に脳波異常を認める。
④画像・血液検査で異常がない
⑤数日以内に症状が警戒する
⑥脳波異常も24時間以内から数日以内に正常化する
⑦追跡調査でも神経学的所見がない

 

・頭痛・錯乱と同時または以後に視覚症状(視野障害 目が見えない、視力低下、眼痛)を認める(58%)。
・発症年齢の平均値は8.7歳(6~13歳)であったが、一般的に15歳以下の小児に圧倒的に多い。60歳代まで報告はある。
・錯乱と頭痛の持続期間は、30分から24時間で一旦入眠し覚醒すると症状が軽快することが多い。
・頭痛既往(33%)、軽症頭部打撲後(67%)、頭部打撲から発症までの平均時間は90分(20分~3時間に認める。
・脳波所見:後頭部優位の徐派が多い。数日以内に改善する。
・発作時SPECT:後大脳動脈領域の血流低下が認めらたと報告あり(前頭葉皮質の機能障害の存在が示唆され血流障害に起因する可能性がある)