反射(深部腱反射、表在反射)による神経局在診断<基礎編>
深部腱反射
- 深部腱反射は、反射弓(腱~感覚神経~運動神経~神経筋板~筋)が正常に機能しているかをみる。反射弓のいずれかの部位が障害されていれば、深部腱反射は低下または消失する。
- 障害部位以上の錐体路障害で腱反射は亢進する *ただし、急性期脊髄障害では、深部腱反射は低下または消失する。
判定:亢進(++, +++)、正常(+)、消失(-)を用いる
腱反射の亢進→反射弓より高位の錐体路障害
腱反射の低下・消失→反射弓の障害
*下顎反射は亢進のみが病的(顎をたたくと下顎が大きく上昇する)。亢進は皮質橋路の両側性障害を意味し、嚥下言語障害を伴う場合は仮性球麻痺と診断する。
深部腱反射の診察方法:Clinical Examination of reflexes - YouTube、下顎反射
②表在反射
- 腹壁反射をみる
患者に臥位になってもらい足を軽く曲げてもらい、腹壁を弛緩させる。腹部をハンマーの後ろや爪楊枝などで腹部外側から正中に向かってこする。それで腹筋が収縮して腹壁が動いて見えたら陽性と評価する。
腹壁反射は陽性が正常であり、反射の消失で異常である。腹壁反射の消失は錐体路障害と反射弓障害で起こる。臍はTh10なので障害部位の目安に使える。
腱反射消失+腹壁反射の消失→反射弓障害
腹壁反射消失+腱反射の亢進→錐体路障害 と考える。
その他
①Babinski反射:陽性なら錐体路障害あり
②錐体路障害が起こると、手にWartenberg反射、肘、足関節にクローヌスが出現しやすいので必ず確認する。
・Warterberg反射(Wartenberg反射 – みみはら研修医 Real Time Line)
・足クローヌス(膝クローヌスと足クローヌスとは?|医学的見地から):足が垂れた状態から急に足底を押し上げると、足が上がったり下がったりする運動を生じる
上記から、深部腱反射、表在反射、病的反射から腱反射のみでもある程度の病変の局在が類推可能になる。特に腹部は筋力低下などの所見が分かりにくく、腹壁反射は有用な所見である。
- 正常な腱反射