朝活研修医(総合診療科、小児科)in 温泉県

温泉県で総合診療科・小児科をしながら地域中核病院で勤務する研修医のブログ

聴性脳幹反応の見方

概要

・客観的に聴力を評価する。聴神経系を刺激することで得られる脳幹部での電位を頭皮上より記録したもの

・聴性脳幹反応では、音刺激の後l~2ミリ秒の潜時(latency)を置いて、I波からⅦ波までの7つの波が1ミリ秒ごとに登場する

I波が鍋牛神経,Ⅱ波からⅢ波は延髄から橋下部,Ⅳ波は橋上部,V波は下丘(中脳)に由来する

(I波潜時は音刺激からI波が出現するまでの時間,Ⅲ波潜時は音刺激からⅢ波が出現するまでの時間のこと)

・I波潜時は被検者の中耳機能の影響をまともに受ける

通常は,I波が出現してから後続のⅢ波やⅤ波が出現するまでの間隔(ピーク間潜時interpeaklatency:IPL)を重視する

 

闘値検査としてのABRの適応

乳幼児、詐聴、聴神経腫傷の診断に有用

 

意義

1)闘値検査

小さな音刺激からスタートし、徐々に音圧を上げ、反応が認められる最小音圧を求める。この音圧をABR上の聴覚闘値とする。通常は、最も大きなV波で反応の有無を判断する。

 

 

あくまで聴覚闘値はABRのもので、頭皮から誘導した電気的変化なので、本来の閏値よりも約20dB高〈(悪く)なる。

(通常は音刺激として2,000~4,000Hzのクリック音を使用しているので、低音部の難聴を捕捉することはできない。したがって、ABR上の闘値を全面的に信頼すると、思わぬ誤診に至る危険がある。手間暇がかかるので自覚的聴力検査を信頼できる場合には、あえてABR上の悶値を求める必要はない)

 

2)聴覚伝導路の障害部位の推定f:id:drtasu0805:20180417231532p:plainf:id:drtasu0805:20180417231400p:plain

各波は聴覚伝導路に生じた電気的変化を反映するので、障害があれば、そこに至るまでの潜時が延長するとともに、その波形が乱れる。

(聴神経腫傷は、聴覚伝導路が侵されるためⅠ~Ⅴ波の潜時が延長する。下部脳幹障害を反映し、その潜時の延長の中心はⅠ~Ⅲ波にある。I波だけが認められ、Ⅱ波以降が消失することもある。)

 

波形が二重だが、同一の検査を二度行ったため、同じような波形が描かれれば、アーチファクト(実験操作によって出現した人工産物)でないことを確認できる。

 

 乳幼児のスクリーングの流れ

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レノグラムについて

水腎症について

・小児の水腎症は、主に閉塞性腎症の代表的な原因疾患

・胎児の腎盂拡張は全妊娠の0.5~1%で認める。

・一過性が48%、生理的が15%、病的なものは腎盂尿管移行部の通過障害が最多である。膀胱尿管逆流症が9%、膀胱尿管移行部の通過障害を含む水尿管が4%、多嚢胞異形成腎が2%、尿管瘤がが2%、後部尿道弁が1%、そのほか巨大尿管症が報告されている。

先天性水腎症アルゴリズム

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SFU分類

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レノグラムとは?

左右の腎臓の時間-放射能曲線(レノグラム)のパターンから定性的に腎臓の機能評価したり、99mTc-MAG3の腎摂取率や腎クリアランスから有効腎血漿流量が計算でき、分腎機能が定量的に評価できる。

99mTc-MAG3 【商品名:MAGシンチ®注】

検査の原理

上記薬剤は、腎尿細管に高率に取り込まれ、排泄される。腎での摂取は、有効腎血漿流量(ERPF)や有効腎血流量を反映するため、腎・尿路における薬物動態を経時的に撮像し、その推移を解析することにより、腎血流、腎実質機能、尿路の通過状態及び腎の形態を非侵襲的に診断することが可能。

検査の流れ、注意事項

 

<利点>・繰り返し検査可能・尿通過の定量的評価が可能・偽陰性例は比較的少ない 

<欠点>・10~15%前後の偽陽性例がある(その原因⇒a不十分な水負荷による不十分な利尿効果、b拡大した腎盂・腎杯による不十分な内圧の上昇、c腎機能低下に伴う尿排泄の低下;腎機能が未熟な生後数か月以内の検査は信頼性が乏しい)

◎少なくとも生後6か月以降にSFU3度以上、もしくは水腎などの尿路狭窄が存在し尿路感染を繰り返すような症例ではの利尿レノグラムの適応

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 実施方法

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カフェオレ斑は、何個まで経過観察してよいか?カフェオレ斑の鑑別診断は?

集団におけるカフェオレ斑の個数

カフェオレ斑は、5歳未満の小児で約99%が2個未満。

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Diagnostic Value of the Caf-au-lait Spot 'in Children より

 

Café-au-lait spots in neurofibromatosis type 1 and in healthy control individuals: hyperpigmentation of a different kind? Arch Dermatol Res. 2006 297(10):439-49.

・表皮にメラニン色素が多いことで生じ、健常人で孤発性カフェオレ斑は非常にCommonだが、多発性カフェオレ斑は遺伝子異常症を示唆する。正常人で5個以上は稀、6個以上はNF1のCut off値と考えられている(NF1は常染色体優性で3500人に1人。NF1は全例にカフェオレ斑を最終的に認めるが表現型は様々である)

・カフェオレ斑は、淡い茶色の限局性病変で境界明瞭な2-5㎝のものが多い。大きさは様々で2mm~20㎝以上までありうる。

・出生時でも存在するが、通常幼少期より身体発育と共に大きくなる。

孤発性カフェオレ斑の有病率:新生児で、白人は0.3%、アフリカ系アメリカ人の黒人では18%と報告がある。

・基本的に孤発性カフェオレ斑は、先天異常や悪性腫瘍を示唆するものではなく、医学的な治療は必要ないが、美容改善のためにレーザー治療を行う場合はある。

・カフェオレ斑の原因となるメラノサイト密度は、顔や男性器は2000/mm2、体幹は800/mm2と 分布に差がある。また、年齢とともにメラノサイトは減少する。

 

Predictive value of café au lait macules at initial consultation in the diagnosis of neurofibromatosis type 1. Arch Dermatol. 2009 145(8):883-7.

・乳児や小児ではカフェオレ斑はCommonで、NF1の診断は他の臨床特徴が出現しなければ診断できない。家族歴のないNF1の早期診断は困難。

孤発性は乳児の3%、健常小児の25%に存在する。しかし、3個以上は0.2~0.3%のみと報告されている。

McCune-Albright症候群、リング染色体症候群、ワトソン症候群、ブルーム症候群においても複数のCALM(カフェオレ斑)が見られるが、これらはNF1よりもはるかに一般的ではない。NF1と類似の表現型特徴を有するが、SPRED1の突然変異によって引き起こされる症候群、ならびにNF1の他の特徴を有さない複数のCALMの遺伝的形態も報告されている。

専門家は、3つ以上のカフェオレ斑を有する小児はNF1の評価・監視フォローを推奨している。

・最終的に初期にカフェオレ斑のみを症状に認め、NF1と診断された小児では、76%が4歳まで、94%は6歳までに、全例で8歳までにNF1基準を満たし診断された

・NF1の遺伝子検査が確定診断を提供するのに有用

・カフェオレ斑の種類

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A「典型的な」カフェオレ斑は、均一な色素沈着および明確で規則的な境界を有する病変と定義

B「非定型」または「不規則」カフェオレ斑は不規則な、汚れた境界または不均一な色素沈着を伴う病変と定義

 

 

Prevalence of Café-au-Lait Spots in children with solid tumors. Genet Mol Biol. 2016 May 24;39(2):232-8.

固形腫瘍のある小児で、カフェオレ斑の有無は一般集団と変わらない

Main syndromes associated with CALMs(カフェオレ斑).  カフェオレ斑をみたときに鑑別を浮かべる疾患

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眼窩吹き抜け骨折の病態、治療、予後

眼窩吹き抜け骨折の診断,治療および術後管理

 

病態

眼窩吹き抜け骨折は、眼窩壁の中で一番薄い「紙様板」と呼ばれる篩骨眼窩板が存在する内壁よりも、二番目に薄い下壁の方に好発する。その中で、特に眼窩下溝周辺(特に内側)の発生頻度が高く、症候性のことが多い。

一方、内壁の場合は紙様板の中央を中心とした部位での発生頻度が高く無症候のことが多い。病態としては、骨折部から外眼筋・眼窩内脂肪などの眼窩軟部組織が副鼻腔(下壁骨折では上顎洞/内壁骨折では篩骨洞)内へ脱出・嵌頓・さらには瘢痕性癒着をおこすことにより、眼球運動障害・複視・眼球陥凹などを呈する。内壁骨折の場合、眼窩軟部組織の篩骨洞内への脱出はおこすが、嵌頓・絞扼はまれであり、一般的に予後は良好である。

 

臨床症状

  • 眼球運動障害/複視

眼球運動障害は主として上下方向にみられ特に上転障害が多い。障害方向複視が出現する。眼窩内組織が高度に嵌頓時は全方向で障害されている。また、組織の脱出・嵌頓がなくても眼窩内の血腫・浮腫によって症状が出ることもある。内壁骨折においては水平方向が障害され外斜内転不能外転障害などがみられるが眼球運動障害がみられないことも多い。

 

  • 眼球運動時の疼痛

眼球運動時の疼痛は、眼窩内組織が骨折部へ嵌頓していることによりおこる牽引痛である。受傷後早期の眼瞼腫脹や眼窩内の出血や浮腫などのため眼球運動障害の確認が困難な場合においても、骨折・嵌頓組織の存在を疑うことができる。

  • 眼球陥凹

眼窩内組織が上顎洞や篩骨洞へ脱出することによってみられ、その程度は骨転位の程度と組織の脱出量に依存する。受傷後早期は眼瞼の腫脹・眼窩内の出血や浮腫などによって目立たない。出血や腫れの消退とともに、眼球陥凹は顕性化してくる。

  • 鼻出血,眼窩気腫

副鼻腔粘膜の損傷により高率に鼻出血がみられ,鼻をかむことによって、急激に眼瞼気腫や眼球突出を伴う眼窩気腫を生じることがあるが、気腫は一般的に1 週間前後で消退することが多い。内壁骨折のときに多くみられ、篩骨洞経由で眼窩気腫が惹起され、内直筋の嵌頓がなくても眼球運動障害が出現する。

  • 眼球後退現象

外眼筋や周囲の眼窩内組織が骨折部へ嵌頓すると、外眼筋の伸展方向が障害されるため伸展方向へ眼球を動かすと、眼球が後退する現象がみられることがある。

嘔気,嘔吐

迷走神経反射によるもので、頭痛・除脈を伴って高率にみられる。特に若年者ほど顕著であり、頭部損傷が疑われることもある。また、小児においては脱水症状の発生にも注意が必要である。

  • 患側頬部皮膚知覚異常

下眼窩裂・眼窩下溝に骨折が及ぶと、眼窩下神経が障害され、下眼瞼,鼻翼,頬部,上口唇,前歯唇側歯肉の知覚異常を生じる。術後数ヵ月で軽快することが多いが、1 年以上にわたって残存することもある。

 

CT 画像による骨折形状分類

骨折片の転位がみられないものを『線状型』、転位がみられるが骨折片が遊離していないものを『トラップドア型』、骨折片が遊離して下壁に骨の欠損部がみられるものを『骨欠損型』に分類する。

『線状型』と『トラップドア型』は主として小児や若年者に多くみられる。本分類は、術前における手術の難易度の予測や施行術式の検討ができ有用である。

小児においては、画像所見がごく軽度であっても著しく眼球運動が障害されている場合がある。小児は骨の弾力性に富み厚い骨膜で包まれているため粉砕骨折が生じにくい。骨折部の転位が軽微で眼窩内組織が骨折部に強く嵌入しているため注意が必要である。

 

治療法の選択

眼球運動障害・複視がみられ、画像検査にて骨折と眼窩軟部組織の副鼻腔内への脱出・嵌頓が確認された時点において、外科的治療を選択する。外科的治療の予後については、受傷後時間的経過とともに骨折部の瘢痕性変化が進行し手術の難易度が増すこと/眼窩内組織の絞扼による循環障害から不可逆性変化が生じ機能回復に支障をきたすことなどの理由から、手術適応と判断した場合は早期に行った方が予後良好である。

 

手術における留意点

骨折の整復より、むしろ機能的・整容的改善(眼球運動障害,複視および眼球陥凹の改善)を目標とする。

 

術後管理

上顎洞内バルーン挿入術の施行例は、バルーンを通常術後2 週間留置する。術後の外眼筋の機能回復と眼窩内組織の骨折部における癒着防止のために、振り子を用いて上・下、左・右を追視させる。振り子追視運動による眼球運動のリハビリテーションを術後2 日目から、特に複視が強くみられる方向を中心として行う。また,眼窩気腫の予防のため、術後3 ヵ月間は鼻を強くかまないように注意する。術後感染症として上顎洞炎の報告がある。

 

術後評価

術後12か月後の眼球可動率が90%以上であれば、複視は消退~ほぼ消退で日常生活にまったく支障をきたさなくなる。

 

視力予後不良例は 268 例中 2 例(0.7%)のみで、眼窩底骨折は眼外傷としては比較的視力予後の良い疾患であると考えられる。しかし、網膜振盪症や前房出血などの眼内損傷を度々認め、時に脈絡膜破裂や網膜剝離など重篤な合併症も認める。

以上より、眼窩底骨折の予後は眼外傷としては比較的良いが、眼内損傷の有無を確認するために、眼底検査を含めた眼科診察が必要である。

眼内損傷を認めた小児における眼内損傷の発生頻度は 40 例中 6 例(15.4%)・成人では209 例中35例(16.7%)と差はない。

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成人は骨の可塑性が弱いため骨欠損型、子供は骨の可塑性が強いためトラップドア型の骨折を生じやすい。骨可塑性が弱いほど外力が上顎洞へ逃げやすく、眼球の損傷が少ないと考えられる。機序として、打撲の際に眼窩底骨折は眼球の防御作用として働くため、眼球自体に重篤な合併症を引き起こすことは極めて稀。

 自覚症状からの術後成績

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眼窩吹き抜け骨折における術後眼球運動についての検討

術後眼球運動の予後不良因子:術後残存遊離骨片の存在が眼球運動の回復に障害となる。

蘇生後の低酸素性虚血性脳症の管理

『Treatment and prognosis of coma in children』

小児昏睡の治療と予後

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last updated: Jan 04, 2018.

 

昏睡:入眠しているようにみえ覚醒せず、環境に対する認識を示さない

 

治療: 早期診断目標は脳損傷を軽減すること

気道 ⇒十分な換気の確保、気管挿管

循環 ⇒低血圧管理(脳2次損傷に寄与するため積極的に管理する)、静脈内等張液と血管拡張薬

血糖 ⇒低血糖の是正

頭蓋内圧 ⇒頭部CT所見、うっ血乳頭、、ヘルニア兆候に基づき、頭蓋内圧の増加が疑われる場合は緊急治療を推奨する ;ICP低下のための治療は①発熱治療、②ベットアップ30度、③マンニトール

痙攣 ⇒重積状態はロラゼパム0.1㎎/㎏静注、再発防止のためにはフェニトイン15-20㎎/㎏静注

温度管理 ⇒38.5度以上の高熱は脳損傷を助長する。頭蓋内圧上昇をもたらし2次的脳損傷の一因となる可能性がある

電解質異常 ⇒軽度~中等度高Na血症は是正不要。それ以外の電解質異常は治療介入。

予後

・昏睡は通常2-4週間未満の一時的な状態である。

・非外傷性脳障害後3か月以上続く場合/外傷後12ヶ月以上持続する場合は、意識改善の可能性がなく永続的昏睡と判断する。

 

低酸素性虚血性脳障害;HIE/外傷性脳障害;TBIの予後因子

原則、神経学的回復の可能性はHIEよりTBIでより高い。

臨床的な決定力を持つにいたる純分な予後因子はない。年齢は因子として役立たない。

⇒予後因子として、①Event24時間後の対光反射・運動反応・両側胎生感覚誘発電位が予測性高い。②心肺停止時間;(良好な神経学的予後を有した心停止生存例は)15分以下が31%、15-35分が12%、36分以上が10%である。

24時間後のGCS<5と24時間自発呼吸がない症例は重度の障害/死亡の陽性予測率が100%であった。(ただし感度は50%であるため見逃す可能性がある)

その他の予後不良因子:痙攣、低酸素症、早期低血圧など。高乳酸アシドーシス、多臓器障害(急性腎障害、肝障害)は死亡リスクと神経学的予後不良の因子。溺水患者は比較的予後良好が多い。

 

脳波について

昏睡状態の予後予測因子であるが、鎮静剤は脳波異常を引き起こすため予後推定の評価を困難にする。昏睡小児の予後に脳波検査を用いた研究は限定されている。

脳波検査を行う利点は、非てんかん性重積状態(nonconvulsive status epilepticus、NCSE)を特定しうる点である。

SEP(体性誘発感覚電位)は高い特異性があり、特にHIEで脳波検査より予後予測に有用である。

 

頭部MRIについて

頭部CTより詳細に障害部位を描出可能で、予後予測の定性評価に有用である。

 

 

『Hypoxic-ischemic brain injury in adults: Evaluation and prognosis』成人における低酸素性虚血性脳症:予後と治療 

last updated:April 21,2015.

 

臨床的評価項目

・自発運動、刺激への反応、瞳孔系と反射、角膜眼球反射、自発性呼吸の有無

HIEの予後予測に有用な臨床スコアとして、Event 48時間以内のGCS≦4、24h後の角膜・対光反射、24hまたは72hの運動反応 がない場合は予後不良(重度神経学的後遺症や死亡)が起こりうる。

特に、心停止後3日目に角膜・対光反射がないと予後は不良。

 

・低体温療法中、肝不全・腎不全・ショック・鎮静薬投与は、不良転帰の臨床基準推測を不正確にする。

・ミオクローヌスてんかん状態は、予後不良因子である。重度の脳虚血・脳幹脊髄損傷と関連している。

・24-72hの体性誘発電位が予後不良予測に最も有用。N20成分がないと不良。

・脳波検査の、臨床的価値は不明。鎮静・筋弛緩薬で臨床的に抑制されるてんかん重積状態を評価するために有用でありうる。

・頭部CT:通常、心肺停止直後は正常だが、3日目までに脳浮腫・皮髄境界不明瞭化を呈する。

・管理:PPI投与、静脈血栓症予防措置など

ヒトメタニューモウイルスの臨床症状、検査所見

hMPV(ヒトメタニューモウイルス)について

2001年にRSウイルスと類似した呼吸器症状を引き起こすウイルスとしてオランダ研究グループより発見された。hMPVは培養が難しく、それまで発見されていなかったと推測されている。

 エンベロープを有し、パラミクソウイルス科,ニューモウイルス亜科,メタニューモウイルス属に属する。RSVと同様に大きく2つのグループ(グループA,B)に分かれ、さらにそれぞれのグループが2つのサブグループ(サブグループ1,2)に分かれる。

ウイルス分離では、A2(47%)>B1(35%)>B2(18%)>A1の順で検出

 

hMPVの疫学

小児の呼吸器感染症の5~10%、成人の2~4%はhMPVが原因と考えられる。潜伏期間は4~6日間でウイルス排泄は発症後1~2週間持続する。

hMPVが検出された呼吸器感染症の児は2歳未満が最も多い。3月をピークに春に流行し、低年齢ほど入院率が高い。

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hMPVの免疫

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IgG抗体:

陽性率は、移行抗体が消失する6か月以上1歳未満で最も低く、その後は上昇し10歳以上で全例陽性となる。

IgM抗体:

初感染、再感染いずれでも検出され、初感染/再感染の鑑別に使用できない。再感染を繰り返す理由は、hMPV感染の再感染を防ぐのに十分な免疫が1回の感染では得られない可能性が推測される。

 

hMPVの臨床像

hMPVとRSV感染症の臨床症状/検査所見はほぼ同様である。

hMPVはRSVより高熱が多い(RSVの方がやや重症であるとの報告が多い)

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発熱期間:4.8±1.6日

喘鳴期間:5.2±3.0日

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一般的な臨床経過

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MPV陽性患者のレントゲン異常陰影:

大葉性肺炎や末梢肺胞の浸潤陰影画像はみられず、肺門を中心に中枢側の気管支炎および気管支周囲炎を示した

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合併症

熱性痙攣

3.5%

急性中耳炎

15.8%

喘息の悪化

8%

稀だが脳炎/脳症の報告もみられる。低出生体重児高齢者、骨髄移植などの免疫不全状態の患者では重症の下気道感染症の原因となる。

hMPVの検査

2014年からイムノクロマト法により抗原定性が『画像検査により肺炎を強く疑われるhMPV感染症の6歳未満の患者』に保険適応となった(特異度:97%、感度:73%)

感染性ぶどう膜炎

ぶどう膜炎のカテゴリーとして感染症・眼病変・全身性免疫性疾患がある。
感染症原因■
①細菌性/スピロヘータ
 非定型抗酸菌・ブルセラ・猫ひっかき病・レプロシー・レプトスピラ・Lyme病・プロピオンバクテリウム・ロッキー山紅斑熱・梅毒・結核・Whipple病
②ウイルス性
 チクングニヤ・サイトメガロ・エボラ・EBウイルス・単純ヘルペス帯状疱疹ウイルス・HIVHTLV・ムンプス・パレコウイルス・風疹・麻疹・西ナイル熱・ジカウイルス
③真菌性
 アスペルギルス・ブラストマイコーシス・カンジダ・コクシジオイデス・クリプトコッカス・ヒストプラズマ・PCP・スポロトリコーシス
寄生虫
 アカントアメーバ・有鉤嚢虫・オンコセルカ・犬猫回虫症・トキソプラズマ

 さらに、ぶどう膜炎と間違われる病態として有名なのが、虚血・白血病悪性リンパ腫・眼悪性黒色腫・色素分散症候群・網膜色素変性症・網膜芽細胞腫などがあります。これら悪性腫瘍関連のブドウ膜炎もどきも押さえておく。

 

ぶどう膜炎の診断のすすめ方

http://tmdu-ganka.jp/workshop/document/uveitis.pdf