腸重積の整復(空気整復)と院内プロトコル
当院は長年勤務している年配の小児科医師1名、1-2年周期で交代する若手医師1名の2名体制ですが、腸重積のプロトコルもなく、整復方法は、インターネット上にも、あまり記載してくれていないです。
当院は人手がないので、手技中の超音波担当者の確保が難しく、空気整復を行うことにします。また、腸重積の物品セットを作成して常備することにします。
使用するカテーテルですが、尿道用カテは細くて空気が漏れやすいので、コスト!コスト!と言わずに、ちゃんと肛門用カテーテルを買ってほしいです。
当院は、肛門用カテがないので、尿道用カテを代用しています。なんとか整復できるものの・・・空気が漏れやすく やりにくいです。
【空気整復の準備】
・モニターの準備、酸素マスクの準備、便培養の準備、輸液ルート:細胞外液
・鎮静:患児の意識状態の把握が困難となるため、原則 使用しない
【空気整復の手順】
① 小児科外来処置室の棚にある「腸重積症セット」を持参して透視室へ行く
スタッフは医師の他に2名(看護師1名と、できれば上級医がいることが望ましい)
② モニターを装着し酸素マスクの準備をする。透視台に防水シーツを敷き、その上に児を寝かせ、物品を並べる
③ 上半身まで衣類を上げ、腹部を観察しやすいようにし、オムツを開いて臀部の下に敷く。体格に合わせ、挿入可能なできるだけ大きいバルーンカテーテルを選
④ 空気が漏れないようにカテーテル挿入・固定する(成功のためには、空気が漏れない工夫が大事)
1.バルーンの根元から約1㎝部分を持ち、1㎝程度 挿入する
2.バルーンを膨らませ、軽くチューブを引き、肛門倫に固定する
3.チューブの根元を大腿の皮膚に固定する
4.両脇の臀部を引き寄せ、肛門のチューブを挟んで、交差するように固定する
5.膝や大腿を弾性包帯で固定する
6.(可能なら空気が漏れにくいように)介助者1名が、両手で、お尻を肛門側に力をいれ、加圧中は、外力も用いて肛門を閉める
⑥ 透視を行い腹部全域が撮影できる位置を決める
撮影ポイントは整復前、先進部(カニ爪サイン)、整復終了後の最低3枚は撮影する
⑦ 圧力計を見ながら60mmHgから徐々に上げていく。途中で数回撮影しながら進行具合を確認する。最高圧は120mmHgまでとする(高圧での加圧は1回3分まで、放射線照射時間は可能な限り短く、最大でも10-15分以下が望ましい)
最高圧120mmHgを3回試みて、無理なら高次医療機関へ連絡する
⑧ 整復できたか評価する
- 重積の消失、2. 空気の回腸への逆流、3. 空気で拡張した回腸、
- 整復後に嵌入した腸管がない
⑨ Y字管前をペアンで挟んでから、腸内ガスを抜き終了する。排便があれば便検査を行う。以上で終了する。
*ガストログラフィン整復は、こちらのスライド28ページが参考になります。