咽頭痛
咽頭痛の鑑別診断
5Killer diseaseをまず除外!見落とすと短時間で死にます。
フレームワークで鑑別をすすめる。
5 Killer diseaseとは
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急性喉頭蓋炎
唾液の嚥下障害、流涎、こもった声(Muffled voice)、Tripod positionが出現する。
前頸部に吸気性のStridorを聴取し上気道狭窄を伴うときは、無理な咽頭頸部の診察はしない。
側面の頸部レントゲンで診断せよ
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扁桃周囲膿瘍
細菌性扁桃炎が周囲に波及した場合の合併症。
口蓋垂の反側偏位、開口障害、強い嚥下痛が出現する。
- 咽後膿瘍
咽頭後壁に膿瘍を形成、強い嚥下時痛が出現する。
咽頭後部の間隙は、縦隔に連続するため、縦隔炎に波及しうる。
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口腔底蜂窩織炎(Ludwig angina)
歯性感染症の波及による口腔底の著名な腫脹を発生させる。
歯科治療後、口腔内衛生不良、下顎腫脹を確認する。
N Engl J Med. 2008 Oct 2;359(14):1501.
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感染性血栓性静脈炎(Lemierre症候群)
頭頚部感染が、副咽頭間隙・傍咽頭間隙を介して、内頸静脈まで波及して起こる。
内頸静脈に血栓性静脈炎を起こし、さらに他臓器(肺,肝,骨など)に敗血症性塞栓症を引き起こす。
内頚静脈の圧痛や片側頸部の浮腫・腫脹が特徴
造影CTで、内頸静脈に壁の造影効果および血栓を確認せよ
5 Killer diseaseを理解するための咽頭の解剖
咽頭炎のない「咽頭痛」
石灰沈着性頸長筋腱炎ってなに?
- 頸長筋の上斜部の環椎停止部への石灰(ハイドロキシアパタイト)の沈着によって起こる結晶誘発性関節炎(痛風や偽痛風の類縁疾患)
- 好発年齢は20~50歳
- 急性の後頸部痛、頸部運動制限、嚥下痛、嚥下困難,、開口障害(鑑別:咽後膿瘍、化膿性脊椎炎、髄膜炎 でないか、が大切)
- CT:第1~2頸椎前面の頸長筋腱付着部に石灰化像あり
- 治療:NSAIDsと局所安静、重症例はステロイド
Eur Spine J 2013;22:S434- S438
【参考文献】
名著だと思います。