小児総合診療医のひとりごと

小児科, 総合診療科(家庭医療), アレルギー についてのブログ

咽頭の解剖(咽頭炎・扁桃炎・深頸部感染の関係)

f:id:drtasu0805:20210921001733j:plain

深頸部感染

深頸部感染症は、頸部に存在する頸部間隙を経由して発生するため、頸部間隙について理解することが必要である。

咽頭炎扁桃炎と副咽頭間隙・咽頭後間隙の関係

咽頭炎はCommon diseaseの1つだが、咽頭炎扁桃炎から、頸部域の間隙に炎症が進展し、深部感染症を起こす。頸部間隙は複数存在し、互いに交通があり、口腔・咽頭など局在性感染からリンパ行性に間隙内のリンパ節炎が生じ、さらに炎症が進行すると膿瘍へ進展する。

特に、重要な間隙は、重篤化しうる咽頭間隙や咽頭後間隙である。

  • 咽頭間隙:頸動脈鞘(脳神経や大血管)が存在する
  • 咽頭後部間隙:縦隔へ進展しうる

上記の間隙は、頭蓋底や縦隔への進展ルートであるため、大出血・気道狭窄・縦隔炎など致命的な合併を起こし重篤化しうる。

咽頭部の解剖

咽頭間隙、咽頭後間隙以外に、頸動脈鞘・扁桃周囲間隙 などの解剖学的な位置を押さえておく。

f:id:drtasu0805:20210921111304j:plain

咽頭の後方にある間隙は、

  • 咽頭後間隙(頭蓋底から第1胸椎までの高さ)
  • 危険間隙(頭蓋底から横隔膜までの高さ)
  • 椎前間隙(頭蓋底から尾骨までの高さ) の3つの間隙に分けられる。

危険間隙に感染が波及すると縦隔に連続しているため、縦隔炎をおこし重篤化しうる。

f:id:drtasu0805:20210920235109j:plain

咽頭部の間隙と重篤な深部感染のまとめ

f:id:drtasu0805:20210921000116j:plain

【参考資料】

解剖から見た扁桃周囲膿瘍・深頸部膿瘍. 口腔咽頭2016;29(1):9-17

⇒頸部の間隙のCT画像、説明が多い

深頸部膿瘍・咽後膿瘍・副咽頭間隙膿瘍. MB ENTONI 2018;220:42-50

⇒図が分かりやすい