ヒトメタニューモウイルスの臨床症状、検査所見
hMPV(ヒトメタニューモウイルス)について
2001年にRSウイルスと類似した呼吸器症状を引き起こすウイルスとしてオランダ研究グループより発見された。hMPVは培養が難しく、それまで発見されていなかったと推測されている。
エンベロープを有し、パラミクソウイルス科,ニューモウイルス亜科,メタニューモウイルス属に属する。RSVと同様に大きく2つのグループ(グループA,B)に分かれ、さらにそれぞれのグループが2つのサブグループ(サブグループ1,2)に分かれる。
ウイルス分離では、A2(47%)>B1(35%)>B2(18%)>A1の順で検出
hMPVの疫学
小児の呼吸器感染症の5~10%、成人の2~4%はhMPVが原因と考えられる。潜伏期間は4~6日間でウイルス排泄は発症後1~2週間持続する。
hMPVが検出された呼吸器感染症の児は2歳未満が最も多い。3月をピークに春に流行し、低年齢ほど入院率が高い。
hMPVの免疫
IgG抗体:
陽性率は、移行抗体が消失する6か月以上1歳未満で最も低く、その後は上昇し10歳以上で全例陽性となる。
IgM抗体:
初感染、再感染いずれでも検出され、初感染/再感染の鑑別に使用できない。再感染を繰り返す理由は、hMPV感染の再感染を防ぐのに十分な免疫が1回の感染では得られない可能性が推測される。
hMPVの臨床像
hMPVとRSV感染症の臨床症状/検査所見はほぼ同様である。
hMPVはRSVより高熱が多い(RSVの方がやや重症であるとの報告が多い)
発熱期間:4.8±1.6日
喘鳴期間:5.2±3.0日
一般的な臨床経過
hMPV陽性患者のレントゲン異常陰影:
大葉性肺炎や末梢肺胞の浸潤陰影画像はみられず、肺門を中心に中枢側の気管支炎および気管支周囲炎を示した
合併症 |
熱性痙攣 |
3.5% |
急性中耳炎 |
15.8% |
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喘息の悪化 |
8% |
稀だが脳炎/脳症の報告もみられる。低出生体重児、高齢者、骨髄移植などの免疫不全状態の患者では重症の下気道感染症の原因となる。
hMPVの検査
2014年からイムノクロマト法により抗原定性が『画像検査により肺炎を強く疑われるhMPV感染症の6歳未満の患者』に保険適応となった(特異度:97%、感度:73%)