Up to date:クループ症候群のマネージメント
クループ症候群のマネージメント
Up to date
『Croup: Approach to management』
Literature review: Mar 2017.
大切なところだけ抜粋
【はじめに】
クループは、吸気性喘鳴、犬吠様咳嗽、嗄声を特徴とした呼吸器疾患である。
典型的には6か月から3歳までに起こり、主にパラインフルエンザウイルスに起因する。
クループを起こすウイルスに特別な治療法はない。
薬物治療は、気道浮腫を軽減するするために行われる。
【電話による取り分け】
医師の診察が必要かを評価する。
医師評価が必要な状態は下記。下記がなければ自宅管理可。
・安静時の吸気性喘鳴
・急速な進行(Ex:12h以内に上気道閉塞症状がある)
・口腔内唾液を流す
・気道異常の既往(Ex:声門下狭窄、声門下血管腫、挿管既往など)
・中~重症のクループ既往
・呼吸不全になりやすい(Ex:神経筋障害、気管支肺形性異常)
・親が安心できない
・長期症状(3-7日以上)、クループと思えない非典型的な症状を有する
【クループ重症度スコア】
Westlyクループスコア:
- クループスコア(Westley)
喘鳴 | なし:0点,聴診すると聞こえる:1点,聴診器なしでも聞こえる:2点 |
陥没呼吸 | なし:0点,軽度:1点,中等度:2点,高度:3点 |
空気の入り | 正常:0点,低下:1点,極度の低下:2点 |
チアノーゼ | なし:0点,興奮するとあり:1点,:安静時もあり:2点 |
意識状態 | 正常:0点,異常(混乱、興奮):5点 |
2点以下:軽症 3-6点:中等症 7点以上:重症
軽症のクループ:Westlyスコア2点以下、安静時の吸気性喘鳴がない(泣いている時はある)、犬咳様咳嗽、嗄声、陥没呼吸がない。
【家庭での治療】
ミスト療法、解熱療法、経口水分摂取
ミスト療法:シャワーから温水を流して発生させた上記を吸わせる。
→クループスコアをわずかに改善、子供と親に安心感を与える可能性あり(1)
軽症クループは、夜寒い空気を吸わせると改善することもある。
【外来治療】
不安の増加は、クループを悪化させうるので注意。
軽症
経口デキサメタゾン(0.15-0.6㎎/㎏、最大10㎎)単回投与。
*ただし、日本ではデカドロンエリキシル1.5ml/㎏を分1、Evidenceは?ですが分2で内服させる先生も多い・・です。
軽症クループに対するRCTで経口デキサメタゾン単回投与が、再受診の低下・症状持続期間の短縮。睡眠の改善。親のストレス軽減することが示された(2) (3)
通常、エピネフリン吸入は必要ない。
中等症~重症
・加湿、解熱剤投与、水分摂取、酸素投与なども必要である。
・デキサメタゾン経口内服(0.6㎎/㎏単回、最大10㎎)の投与を推奨する。
*ただし、日本ではデカドロンエリキシル1.5ml/㎏を分1-2で内服させる事が多い・・・です。経口摂取が不可なら、経静脈的投与を行う。
中等症から重症に投与した場合、治療後6時間のクループスコアの改善、再受診・再入院の減少、病院滞在期間の短縮が示されている(4)
ステロイド反復投与は、日常的に必要ではなく副作用を増やす可能性がある。
クループに対する24時間以上のステロイド投与を支持するStudyはない。漫然と反復投与するのではなく、中等症以上が持続する場合は、気道閉塞の他の原因を考える。
*プレドニゾロン:デキサメタゾンの代替療法として、経口プレドニゾロン(2mg/kg/日 3日間)の代替効果を示唆する文献あり
*デカドロンエリキシル0.01% 1ml中にデカドロン0.1㎎含有
・エピネフリン吸入
L-エピネフリンを1:1000希釈の容量→(商品名:ボスミン外用液0.1%→ 1mlに1mg含有)を0.5ml/㎏(MAX:5ml)として投与する(15分間投与)
*ただし、施設間で差はあるが、日本ではボスミン外溶液0.1%を1回0.2〜0.3ml+生食2mlで吸入させる事が多い・・・です。(添付文書が最大1回0.3mgまで なんですよね・・・それ以上使うときは責任者の意見次第。自分が責任者になったら、0.3ml以上投与しますが)
吸入後30分のクループスコアの改善、入院期間の短縮が示されている。
通常は30分以内に症状が改善し2時間続く。なので、吸入を開始して呼吸状態を3-4時間観察するべき。投与は15-20分ごとに繰り返すことができ、2-3時間で3回以上投与する場合は心臓モニタリングしながら行う。
【家庭への帰宅】
下記基準を満たせば帰宅可能
・安静時の吸気性喘鳴がない、SPO2異常なし、チアノーゼなし、意識清明など
必ず24時間以内にフォローアップを行うこと。
【非典型的経過】
通常は36時間以内に退院可能である。通常は3日以内に症状が改善するが1週間まで続くこともある。期待する改善がない場合は、合併症の可能性を疑う。気管支肺炎の精査や頸部の軟部組織評価、耳鼻咽喉科へのコンサルトも考慮する。
【その他 合併症】気胸、肺水腫、肺気腫、気管支肺炎などの細菌二次感染
時間がない時の参考:日本語のクループ治療についてのブログ