PCT高値は菌血症の診断に役立つか?
【目的】菌血症におけるプロカルシトニン(procalcitonin, PCT)の初期診断での有用性について、後方視的に解析した。
【方法】2012年11月から2013年6月までの8ヶ月間において当院で血液培養検査が陽性となりPCTが測定されていた132例を調査対象とし、菌血症群と擬陽性群(コンタミ)に分け、検出菌・PCTおよびC反応性蛋白(CRP)との関連性を評価した。
【結果】感染症専門医により、菌血症102例,contamination(擬陽性)30例と判断された。菌血症と擬陽性でPCT(ng/ml)とCRP(mg/dl)の中央値は、それぞれ2.8と0.3,13.2と7.0であり、菌血症で有意に高かった(P<0.001,P=0.020)。
ROC-AUC(receiver operating characteristic-area under the curve)(95%CI)は、PCT 0.76(0.65~0.86),CRP 0.64(0.52~0.76)で2つのマーカー間に有意差はなかった。
一方、菌血症の原因菌別でグラム陽性菌(n=48)とグラム陰性菌(n=54)のPCTは、それぞれ2.1と3.7で有意差を認めなかった(P=0.123)。
【結論】PCTはCRPと比較して真の菌血症と擬陽性の鑑別に役立つと評価された。しかし、菌血症におけるグラム陽性菌とグラム陰性菌を鑑別できるものではなかった。ROC-AUC解析ではPCTとCRPは共に菌血症として有用なマーカーであると評価された。
PCTとCRPは菌血症群で有意に高い。
GP菌血症とGN菌血症で、CRPはGN菌血症群で有意に高い。PCTは両群で有意差なし。
PCTは
カットオフ値 0.5ng/ml ⇒感度:79%、特異度:57%
カットオフ値 1.0ng/ml ⇒感度:74%、特異度:73%
カットオフ値 2.0ng/ml ⇒感度:62%、特異度:80%
で明確なカットオフ値は示せなかった。