浴槽用浮き輪による溺水・窒息の事故予防
溺水で窒息したとき
急いで『こどもが窒息したときの応急処置』を参照してください。
こどもが窒息したときの応急処置 - 朝活研修医(小児科・総合診療科)
実際の症例を考える
療養費用は 387,380 円(うち、入院費用は 336,220 円)でした。
この症例で、『入浴中の浮き輪は危険』であることと、『蘇生処置を実行できる』ことの重要性が分かります。
事故予防を考える:傷害予防の考え方を復習
どんな事故予防ができるか考えてみる
浴槽用浮き輪について
- 業界が販売を自粛しており、保護者に対して「目を離さないで」という警告が行政機関から出されています。
- しかし、ほとんど同じ構造の浮き輪がインターネットで購入することが出来ます(浴槽では使わないで下さいという表示はされています)。
- 保護者が子どもと一緒に風呂に入るとき、一時的に『目を離したい』ニーズがあり、手元にある浮き輪を使ってしまう危険が今でもあります。
浴槽で浮き輪を使う危険性
- 浮き輪が一定の傾きを超えると転覆し、『逆さ中吊り状態』になってしまうことを知っておきましょう。これは、『転覆現象』と呼ばれます。
公益法人こどもの安全研究グループでは、複数の実験をしています。実験の中で分かりやすい簡潔な結果として、『傾きが約30度を超える』と、『転覆してしまう』と報告しています。
【『浴槽用の浮き輪』こどもの生活環境改善委員会からのコメントを抜粋】
1.浴槽用の浮き輪は、浴槽内ですべるなどの危険性を減らすために作られた乳幼児用商品
2.この浮き輪は座るようになっているため、乳幼児の重心の位置が高くなる。子どもの頭が前方あるいは後方に移動すると容易に前方あるいは後方に『転倒する』.
3.いったん転倒すると、元の位置に戻ることができず、溺水となる可能性が高い。溺死する場合もある。
4.保護者といっしょに入浴する以外にも使用される可能性がある。危険性が高い商品であり、保護者にはこの商品を使用しないよう勧告する。
最後に
事故を0にはできなくても、0にする努力を『トムとジェリーのチーズ』式に考える。ことが大事です。