小児総合診療医のひとりごと

小児科, 総合診療科(家庭医療), アレルギー についてのブログ

小児科専門医2019 復元問題A4 FISH法で診断できない病気

 

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FISH方法で診断できないものは

 

A Prader Willi症候群

B Angelman症候群

C Williams症候群

D 22q11.2欠失症候群

E 筋強直性ジストロフィー

 

答え E

CTGリピート検出はFISHではできない。

 

FISH法:Fluorescence in situ hybridization法

標的の遺伝子と結合するプローブに蛍光色素をつけて、分裂期細胞における染色体標本の上でDNA同士が互いに相手を見つけてくっつくようにする(ハイブリダイゼーション)と、特定の染色体に色を付けることができる。色が付いた染色体を見て、遺伝子の増減(欠失や増幅)や染色対中の位置(マッピング)を調べる。

 

工程に沿って簡単に表すと、以下

①検出したいDNAを用意する
②DNAを熱処理によって1本鎖にする
③検出したいDNAにくっつける相補的なDNA(蛍光標識がついているプローブ)と検出対象のDNAを混ぜる
④温度を冷やすと、相補的なDNAと検出対象DNAが結合する(ハイブリダイゼーション)

 

例えば、着色された染色体(例えば黄色)は、それ以外の染色体(例えば赤)と一部を交換していると、黄色と赤が混ざった染色体が観察できることになる。

相互転座は、ギムザなどの色素で染色体を染色して観察する場合(G-band)には、大変発見が難しい。例えば、同じ長さの断片が、互いに交換を生じた場合を考えると、染色体の形、長さはまったく正常のものと区別がつかない。しかしこうした異常でも FISH を利用すれば2色の染色体として転座を簡単に検出できる。

FISHで診断可能な疾患 (対象領域の数異常を検知する)

・数の異常:13/18/21トリソミー、Turner症候群、Klinefelter症候群、XYY症候群、XXX症候群

・微細欠失/重複症候群/隣接遺伝子症候群

 欠失:Williams症候群、Miller-Dieker症候群、Angelman症候群、

 Prader-willi候群、Wolf-Hirschhorn症候群、HNPP(遺伝性圧迫神経麻痺)

 22q11.2欠失症候群Digeorge、1P36欠失症候群

・重複:シャーコット マリー トゥース1型

・そのほか

SRY(+)XX-male、SRY(-)XY-female、DAZ(Yq11.23)領域欠失、SHOX領域欠失

 

 

 参考サイト:

染色体遺伝子検査の 分かりやすい説明ガイドライン. 日本染色体遺伝子検査学会:http://www.jacga.jp/wp-content/uploads/2015/11/guide-line1_1.pdf

公益社団法人放射線影響研究所https://www.rerf.or.jp/glossary/fish/

FISHで確認できる主な染色体異常:https://www.medience.co.jp/gene/kensa/38.html

 

 

なお、Angelman症候群は、精神運動発達遅滞・失調性運動障害・容易に笑う・睡眠障害などが特徴の病気。15番染色体q11-13に位置する刷り込み遺伝子UBE3Aの機能喪失で発症する。一度見たら忘れない、よく笑うので幸せを分けてもらえる。Angelman症候群の動画:Youtubeから引用 https://www.youtube.com/watch?v=pqzbbQrA4ek