2019年小児科専門医 復元問題A2 SGA性低身長
SGA性低身長でただしいのは、どれか
A SGA性低身長は10-15%に生じる
B 遺伝性素因を認める
C IGF1が高くなる
D 1歳から治療を開始する
E 成人期にメタボを発症しやすい
答え:A, E
Bは体質性低身長
SGA性低身長
○SGAの定義:出生時身長または体重がー2SD未満 『かつ』出生時身長および体重が10%ile未満
○SGAの基準を満たす、『かつ』暦年齢2歳時に身長-2SD未満の場合、SGA性低身長と診断する。つまり、2歳まで厳密には確定診断できないことになっている。
○治療の適応:『暦年齢3歳以上になって、身長がー2SD+成長率が0SD未満の場合』
子宮内発育遅延で出生した児はSGA(Small for gestational age)になる。
生後に急速な追いつき現象(Catch up)が認められるが、10-15%で低身長が持続(SGA性低身長)する。Catch upは生後3か月以内にはじまり、生後2歳までに90%が-2SD以上となる。ただし、超低出生体重児や超早産児では、2歳以降も堅調なCatch upが続くことは稀である。SGA性低身長の予測因子は、①出生時の身長 ②両親の診療 ③超低出生体重児 があげられる。
SGA出生の新生児は、胎児期の低栄養状態を反映してIGF-1が低いが、逆に成長ホルモン値は高い。これらは1か月以内に正常化し、成長の予測因子にはならない。SGA低身長児では、IGF1やIGFBP3が、特発性低身長や正常時よりも低く、成長ホルモン値の低下も報告されている。
SGA児は、思春期発来が早くなりやすい。また、高血圧・脂質異常症・糖尿病・肥満を発症しやすい。
GH治療は、思春期開始年齢・思春期テンポ・初経年齢に影響は与えない。最終的な身長の予測因子は、治療開始時身長SD、治療開始年齢、目標身長 などがあがる。
診断のながれ:公益社団法人 成長科学協会
GH治療の実際
1.Turner症候群とGH分泌不全性低身長をまず除外する。
2.0.23mg/kg/week 6-7回/週に分割で治療を開始する。効果不十分例は、最大0.47㎎/kg/weekまで増量可
3.効果不十分は、ΔHSDS(GH 開始後 1 年ごとの身長 SDS の改善)を用い、1年目0.15SD未満、2年目0.25SD未満、3年目0.15SD未満、4年目以降は0.1SD未満で増量を考慮する。
4.GH治療の中止のタイミング
思春期のスパートを過ぎて、年間成長率が2㎝/年を下回ればやめる。
成長ホルモン治療を継続するかの判断基準
a.成長速度 ≧4.0㎝/年
b.治療中1年間の成長速度と治療前1年間の成長速度の差が、1.0㎝/年以上の場合
c.治療2年目以降で、治療中1年間の成長速度が下記の場合
2年目 ≧2.0㎝/年
3年目 ≧1.0㎝/年
2.以下の項目のいずれかを充たしたときは、治療継続の適応はないものと判定いたします。
1)上記の治療継続の基準を充たさない場合
2)年間成長速度が、思春期による最大成長時を過ぎて2㎝未満になった場合
3)骨年齢 男子17歳以上、女子15歳以上
4)重篤な有害事象が生じたとき