小児総合診療医のひとりごと

小児科, 総合診療科(家庭医療), アレルギー についてのブログ

心不全のβ遮断薬の使い方

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循環薬の選び方と使い分けより抜粋

 

 結論から言う

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まとめると

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高血圧心不全はカルベジロール、低血圧性心不全はビソプロロール

喘息や閉塞性動脈硬化症はビソプロロール

肝障害はビソプロロール、腎障害はカルベジロール

これらの縛りがなければ④による不整脈・突然死予防効果を期待してカルベジロールを選ぶ

 

βブロッカーの重要性

Lancetで1993年にWaagsteinらが拡張型心筋症患者でプラセボよりメトプロロールが突然死・心不全再入院が34%少なく、左室駆出率の改善率もメトプロロールが優れるありと報告。

MUCHA試験では少量でも十分な効果が得られ高容量では副作用が増えたと報告、HF-ACTIONのサブ解析では全死亡と入院はカルベジロールの用量と有意な逆相関を示した⇒両試験を考えると『βブロッカーは少量でも有効だが、副作用が出ない限りできるだけ増量することが望ましい』と考えられる

HF-ACTIONは欧米人対象で容量がカルベジロール50㎎/日まで増量が推奨されている。日本人では現実的に

βブロッカー推奨維持量は

カルベジロール:20㎎/日、ビソプロロール:5㎎/日 である

心不全患者に対するβブロッカー増量目安は、

安静時心拍50bpmを目標 または 非忍容性を満たすまで

 

なぜカルベジロールが血圧降下作用が強いか?

β2受容体の活性化は血管弛緩、不活性は血管収縮を引き起こす。

α1受容体の活性化は血管収縮、不活性は血管拡張を引き起こす。

カルベジロールは、αブロッキング効果があるため血管拡張し血圧が下がる