IgA血管炎の診断にIgA組織沈着を証明する必要があるか?
日本皮膚科学会雑誌:127(3)。299-415.2017より
IgA血管炎は、IgA抗体が関与する小型血管炎である。
血小板減少および血液凝固異常を伴わない紫斑性皮疹(100%)が出現する。
皮膚症状は下肢を中心に出現するが、時に体幹や上肢にも出現する。
Palpable purpura、丘疹、紅斑、膨疹、血管浮腫であり、成人では血疱や潰瘍形成も多くみられる。
IgA血管炎の診断にIgAの組織沈着を証明する必要があるか?
EULAR/Presによる小児血管炎分類基準によると、蛍光抗体直接法(direct immunofluorescence;DIF)でIgA沈着の証明を行わなくてもIgA血管炎の診断が可能である。これは、小児血管炎の多くがIgA血管炎であるため、他の小型血管炎の可能性がほとんどないからである。
一方、初発年齢が21歳以上の成人発症のIgA血管炎の診断には、皮膚あるいは腎のIgA沈着を証明することを推奨する(推奨度:B)
腎生検が全例に施行困難であることを考慮すると皮膚小血管壁のIgA沈着の証明の意義は高い。しかし皮膚DIFは擬陽性と偽陰性が多いことから、その結果判定は慎重になさなければならない。
<小児における全身血管炎の頻度>Proceedings of Singapore Healthcare 2012. Vo21.(4). 265-271
IgA血管炎、次いで川崎病が多い。MPA、Wegener’s granulomatosis、結節性多発動脈炎は少ない。