朝活研修医(総合診療科、小児科)in 温泉県

温泉県で総合診療科・小児科をしながら地域中核病院で勤務する研修医のブログ

小児の高カリウム血症の診断と治療管理

カリウム血症の診断と治療管理

Pathogenesis, diagnosis and management of hyperkalemia

Pediatr Nephrol. 2011 Mar; 26(3): 377–384.

 

高K血症:血清カリウムが5.5mmol/lを超える。

①腎排泄の減少、②過剰な摂取、③細胞内からの漏出 によって起こる。

⇒治療は、腎排泄を増加、摂取減少、細胞内へのカリウムシフト増加

 

一般的なカリウムが豊富な食品

果物、ジャガイモ、豆、および穀物が多い。(高脂肪食は、カリウムが少ない)

食べ物と飲み物

カリウム含有量(mmol)

食べ物と飲み物

カリウム含有量(mmol)

バナナ(1個85g)

8.6

オレンジジュース(200ml)

7.9

ブルーベリー(100g)

1.9

ミルク(200ml)

7.7

マッシュルーム(75g)

8.1

コカ・コーラ(200ml)

0.1

ブロッコリー(75g)

5.8

ポテトチップス(20g)

5.1

納豆(75g)

3.9

ミルクチョコ(20g)

2.4

タマネギ(75g)

1.5

ホワイトチョコ(20g)

1.8

フライドポテト(150g)

17.7

ワインガム(20g)

1.8

玄米(150g)

2.2

スパゲティ(150g)

2.3

 

カリウムの排泄:

主に腎臓で起こる。腎外排泄のメカニズムは、カリウムの細胞外シフトや胃腸からの漏出(毎日カリウム摂取量の約10%が胃腸管を介して取り除かれる)がある。

糸球体濾過率(GFR)が15ml /分/1.73m 2未満に低下するまで、腎カリウムホメオスタシスを維持可能である。

 

腎臓におけるカリウム調節機構:

カリウムは糸球体で濾過され、Henleの近位尿細管およびループ脚でほぼ完全に再吸収される。排泄は主に皮質採集管で起こる。ろ過されたカリウムの約15-20%は、Henleの太い上行脚に再吸収される。共輸送体/イオンチャネルが、カリウム再吸収の複雑な調節系に関与している。(最も特徴的なのは、Na-K-2Cl共輸送体)

腎外のカリウム調節機構:

細胞内へのカリウムシフトを増加させる:インスリン、アシドーシス、アドレナリン、ノルアドレナリンドーパミン

筋細胞上のβ2レセプターに結合するカテコラミンが細胞へのカリウムシフトを増加させる。インスリンは、N肝臓および筋細胞へのカリウム取り込みを増加させる。

 

カリウム血症の原因

カリウム摂取過剰:

腎機能や他の調節機構が正常なら、高カリウム血症を生じるために多量のカリウムが必要

腎機能障害(特にGFRが15未満)で起こりやすい

カリウム排泄障害:

1急性/慢性腎機能不全(特にGFR<15はカリウム腎排泄の減少をもたらす)、2薬剤、3低アルドステロン症、4偽性低アルドステロン症、5先天性副腎過形成(約90%が21-ヒドロキシラーゼ欠損症)、6うっ血性心不全、7便秘症(カリウムの経腸排泄の減少)

細胞外への漏出:

1アシドーシス、2真性糖尿病(インスリン低下)、3高浸透圧(高血糖・マンニトール)、4組織壊死、5薬剤(ジゴキシン、β遮断薬)、6周期的四肢麻痺(骨格筋のNaチャネル変異)

 

カリウム血症の診断

カリウム血症の分類:

 軽度(5.5-6.5mmol / l)、中等度(6.5-7.5mmol / l)重度(> 7.5mmol / l)

カリウム血症は症状に関連することはまれ。時に動悸、吐き気、筋肉痛、または感覚異常を訴える。

血清カリウム> 6.5mmol / lの患者では、心電図検査(ECG)の監視が必須。

検査は体系的で、常に心機能、腎臓および尿路の評価ならびに水分状態および神経学的評価を含むべきである。

 

GFRおよびアルドステロン値に基づくアルゴリズム

f:id:drtasu0805:20170619143426p:plain

偽性高カリウム血症:

明白な誘因がない場合に考慮する。採血困難による溶血は、毛細血管サンプリング・リンパ球増加症・血小板増加症で多く生じる。

 

誘因薬剤:

f:id:drtasu0805:20170619143452p:plain

カリウム血症の検査

検査

鑑別診断

血球数

溶血性貧血、HUS、血小板増加症、感染症

血液ガス

アシドーシス

浸透圧

TTKG計算

Cre、BUN

腎不全

CK

横紋筋融解症

ALT

溶血、腫瘍崩壊

LDH

溶血、腫瘍崩壊

Glu、HbA1c

真性糖尿病

レニン、アルドステロン、アンギオテンシン

低レニン血性低アルドステロン、偽性アルドステロン症

血中コルチゾール

先天性副腎過形成

11βOH/21OH/17OHプロゲステロン

尿中K、Na、Cre

塩類漏出

尿中Alb

タンパク尿

TTKG

腎応答正常なら高K血症で高い(通常> 10)

高K血症時の不適切な低TTKGは

低アルドステロン症または腎尿細管欠損を示唆

 

カリウム血症の管理

Step1:原因評価、ECGモニタリング

 重度の高K血症またはECG変化があればICU入室

10%グルコン酸Ca投与(禁忌:ジゴキシン中毒、高カルシウム血症

 

Step2:カリウム上昇の原因を排除

 薬剤、サプリメント、K含有量の多い食事を中止

 

Step3:細胞外空間へのカリウムシフト増加治療

 GI療法 電解質とGluモニタリングが必要

低血糖に注意し血糖値:10-15 mmol / lに維持を目指す

 β刺激薬 サルブタモールの低下効果は2時間後に1.6-1.7 mmol / lの平均減少。高カリウム血症を伴う非小児期早期腎における直腸カチオン交換樹脂よりも安全であり優れていることが示されている。

 

Step4:カリウム排泄量を増加させる

 ループ利尿薬 腎機能残存例に用いる

 イオン交換樹脂 1-2時間後に効果発現、4-6時間持続する

 腎代替療法

 

治療薬剤について:

f:id:drtasu0805:20170619143506p:plain