セフェム系抗菌薬の少量持続内服は尿路感染症の再発抑制・予防効果があるのか?
(cefaclor の持続少量抗菌薬予防投与による再発抑制効果について)
日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 30(2017) No. 1
背景:
有熱性尿路感染症(UTI)の再発は、腎瘢痕形成に寄与する可能性があるだけでなく、患児とその家族に大き な負担となる。そのため、従来、再発のリスクの高いと 思われる児に対しては、持続的少量抗菌薬予防投与 (continuous antibiotic prophylaxis: CAP)がすすめられてきた。多くは sulfamethoxazole-trimethoprim(ST 合剤) を用いており、本邦で頻用される cefaclor(CCL)についての検討は少ない。
目的:
3 施設の初発有熱性UTI症例における、CCL(ケフラール) のCAPによるUTI再発抑制効果を同定する。
方法:
2004年4月から2013年3月に昭和大学横浜市北部病院・同藤が丘病院・聖マリアンナ医科大学病院の各小児科に入院した初発有熱性UTI症例のうち、6 か月以上経過観察できた126例を対象とした。
CCLのCAPを行った群(CAP群)と行わなかった群(非CAP群) の2群にわけ、患者背景・再発の有無について検討した。 また排尿時膀胱尿道造影(VCUG)を施行した症例は、膀胱尿管逆流(VUR)の有無も合わせて検討した。
結果:
126例(CAP群52例、非CAP群74例)で、両群の患者背景に有意差はなく、CAP群で有意に再発が少なかった。
またVCUG を施行した114例(CAP群50例、非CAP群64例)のうち、VURがある症例では、CAP群で有意に再発が少なかった(12%vs67%,p<0.01)。 CCL の CAP により,UTI の再発を抑制できる可能性 がある。><0.01%)。
結論:
CCLのCAPにより、UTIを抑制できる可能性がある。