小児総合診療医のひとりごと

小児科, 総合診療科(家庭医療), アレルギー についてのブログ

HERDOO2ルール、静脈血栓症の抗凝固療法の中止基準

非誘発性静脈血栓症の女性におけるHERDOO2ルールを用いた治療期間の検証

BMJ. 2017 Mar 17;356:j1065. doi: 10.1136/bmj.j1065.

 

【目的】

HERDOO2ルールを前向きに検証する。危険因子が0-1項目のみの女性であれば、短期間の治療後に抗凝固剤を安全に中止することができる。

危険因子:

  • いづれかの下肢に色素沈着、浮腫、発赤
  • Dダイマー≧250μg/ml
  • 肥満:BMI≧30
  • 年齢≧65歳

 

【方法】

前向きコホート研究、7カ国の二次/三次医療センター44施設で実施。

5~12ヶ月間の間、初回の非誘発性静脈血栓症(膝窩静脈より近位の静脈に新たに発生した血栓と、1区域よりも近位の動脈に新たに発生した肺塞栓を対象)に対して抗凝固療法を実施した2785人が対象とした。

HERDOO2ルール:0-1点の女性は、再発性VTEの低リスク群として抗凝固中止(介入群)、男性および高リスク群(2点以上)女性は、中止するかを患者と主治医の判断に任せる(観察群)とした。1年のフォローアップ期間中に再発した症候性VTEを主要評価項目とした。

【結果】

低リスク群631人(51.3%)のうち、

591人が経口抗凝固薬を中止した。追跡期間中に、経口凝固薬17人がVTEを再発、1年当たりの再発率は3.0%(95%信頼区間1.8-4.8%)だった。

高リスク群(2点以上の女性)と男性のうち、

抗凝固薬の使用を中止していた323人では、追跡期間中に25人がVTEの再発していた。再発率は1年当たり8.1%(5.2-11.9%)だった。抗凝固薬の使用を継続していた男女1802人では、追跡期間中のVTE再発は28人で、1年当たりの再発率は1.6%(1.1-2.3%)だった。

男女別では、、

抗凝固薬を中止していた高リスク女性の再発率は7.4%(3.0-15.3%)、男性の再発率は8.4%(5.0-13.2%)だった。

【結論】

非誘発性VTEを起こしたHERDOO2のスコアが1以下の女性は再発リスクが低く、一定期間の治療後に抗凝固薬を安全に中止できる。