小児総合診療医のひとりごと

小児科, 総合診療科(家庭医療), アレルギー についてのブログ

再生不良性貧血とPNH血球(CD59-、CD55-)

Minor population of CD55-CD59- blood cells predicts response to immunosuppressive therapy and prognosis in patients with aplastic anemia

【目的】

後天性再生不良性貧血患者におけるPNH血球の臨床的意義を研究

【方法】

再生不良性貧血と診断された122人の末梢血CD59-,CD55-の顆粒球・赤血球数(PNH型血球)を定量し、免疫抑制療法の反応性とPNH血球数の関係を調べた。

【結果】

フローサイトメトリーで、0.005~23.1%にGPI膜タンパク欠損を認めた再生不良性貧血の患者は68%であった。そのうち、顆粒球と赤血球療法にPNH型血球を認めたのは83%、顆粒球のみ15%、赤血球のみ2%であった。

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抗胸腺細胞グロブリン(ATG)+ シクロスポリン(CsA)療法に反応して、PNH血球陽性患者では91%でPNH型血球が増加した。PNH血球陰性患者では48%であった。

 

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PNH 血球陽性患者では5年間でPNH患者(12%)よりも有意に高い無治療失敗生存率(64%)が得られ、全生存率は群間で同等であった。

PNH型および正常型血球の数は、免疫抑制療法に応答し、PNH血球陽性患者で平行して増加し、これらの血球は免疫治療に対して同等に感受性であると思われた。

これらの結果は、PNH型血球が再生不良性貧血患者で、免疫抑制療法に対する反応性および良好な予後を予測するマーカーであることを示している。さらに、PNHクローン増殖を可能にする造血幹細胞に対する免疫攻撃は、再生不良性貧血の発症時にのみ起こり得る。

(PNH型赤血球は健常人でも0.1%で検出される。)