朝活研修医(総合診療科、小児科)in 温泉県

温泉県で総合診療科・小児科をしながら地域中核病院で勤務する研修医のブログ

伝染性単核症の症状、検査、診断、合併症、抗体

 

Infectious Mononucleosis(伝染性単核症)

Katherine L, et al. NEJM 2010;71:1993―2000.

 

純粋なEBV感染は人間にしか起きない。

多くはEBウイルスの初感染で起こるが、CD3モノクローナル抗体が枯渇した慢性感染症の患者にも認める。

全世界の95%以上の成人がすでに感染し、先進国では1-5歳・10台で感染のピークがある。

発展途上国では幼児期に多くが感染し症状は非特異的である。(1歳未満は母の移行抗体のため感染は稀である)。乳幼児期の感染は、初感染例の90%以上が不顕性または上気道炎症状で経過する。10-19歳では有病率が1年で8/1000人である。10歳未満・30歳以上では1/1000人未満である(若すぎると症状が無いため正確な人数不明)。

季節による発生頻度の変動はない。最近では30-75%の大学新入生は、EBVがSeronegativeである。毎年10-20%が感染しその内30-50%が伝染性単核症を発症する。

主に日常生活で唾液から感染する(キスは稀)が、初期暴露より症状発現まで30-50日かかる。初感染時は、唾液を介して咽頭上皮より侵入してB細胞に潜伏感染する。

 

症状:

古典的3症状は発熱、リンパ節腫大、咽頭炎である。

(98%が、全身倦怠感・発熱・リンパ節腫大・扁桃腫大を伴う。咽頭痛は93%、咽頭炎は85%、口蓋点状出血は50%、頸部リンパ節腫大は76%、倦怠感は66%に認める。後頚部リンパ節腫大が典型的だが前頚部リンパ節も腫大しうる。)

血液検査異常・身体所見は診断後1か月以内にほとんど改善するが、頸部リンパ節腫大・倦怠感の改善はゆるかやである。全身倦怠感は長ければ6か月以上持続するが、多くは2-3か月以内に日常生活が普段通り行えるようになる。

Commmonな検査所見は、異型リンパ球を伴うリンパ球が50%以上であり、少なくとも異型リンパ球は10%以上で感度75%・特異度92%である。(リンパ:4000 mm3以下は伝染性単核症らしくない。Hoaglandクライテリアでは、少なくとも50%以上のリンパ球数と異型リンパ球が10%以上であるが伝染性単核症状に特徴的と報告されている。 )

ASTは青年期以上で上昇しやすく、高齢者では高ビリルビン血症や肝腫大が多い。(高齢:60歳以上では黄疸は26%で青年8%に比べて高く、リンパ節腫大や咽頭痛・脾腫が少なくなる)

 

補足;症状の感度・特異度

Am Fam Physician 2004 Oct 1;70(7):1279-87.より

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補足;Am Fam Physician. 2015 Mar 15;91(6):372-376.より

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補足;検査結果の感度・特異度

Am Fam Physician 2004 Oct 1;70(7):1279-87.より

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合併症:

血液学的異常は50%に合併(溶結性貧血、血小板減少、再生不良性貧血血栓性血小板減少症、紫斑、HUS、DIC)する。神経学的合併症は1-5%に合併する(ギラン・バレー症候群、顔面神経麻痺、髄膜脳炎、無菌性髄膜炎、横断性脊髄炎、末梢神経炎、小脳炎、視神経炎)

他に、生命を脅かす合併症は脾破裂(0.5-1%;活動量の多い運動がリスクで、Valsalva maneuverが関与しているのかもしれない)および、リンパ組織の過形成と粘膜浮腫による上気道閉塞(1%)が挙げられる。(上気道閉塞は6歳未満が高リスクである。)

女性は膣潰瘍も起こすことがある。血球貪食症候群は1/800000人に発生するがその半数はEBVが原因である。(Immunocompromised hostやX連鎖リンパ増殖性疾患では、慢性活動性EBV感染で高い死亡率;96%がある。)

アンピシリン加療例の90%、そのほかのβラクタム系抗生剤の40-60%で麻疹様発疹が出現する。

脾破裂は診断後3週間以内に生じることが多いが、最長で7週間でも報告がある。スポーツの制限は一般的に症状が出て最短3週間後が推奨される。多くの患者は2か月以内にいつも通りの日常生活に戻れる。

補足;Am Fam Physician. 2015 Mar 15;91(6):372-376.より

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伝染性単核症と鑑別すべき咽頭炎の原因疾患:

NEJM 2010;71:1993―2000.より

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伝染性単核症の鑑別診断:

CMV、HHV-6、トキソプラズマHIVなど

補足;Am Fam Physician. 2015 Mar 15;91(6):372-376.より

 

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抗体について:

EBV感染の確定診断はIgM /IgG antibodies against viral capsid antigens, early antigens, and EBV nuclear antigen proteinsで行う。 IgM抗体は慢性EBV感染では認めない。

IgMは、初感染後1週間以内は25%が陰性、初感染後2週間は5-10%が陰性である。上昇しても4-8週以内に消失する。IgM抗体陽性は伝染性単核症の感度85%、特異度94%である。(伝染性単核症の原因疾患のうち、HIV Type1のみ1%未満だがEBVのIgMが陽性になることがある。)

NEJM 2010;71:1993―2000.よりf:id:drtasu0805:20170410000622p:plain

補足;EBVウイルスの感染時期

 

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診断手順:

補足;Am Fam Physician. 2015 Mar 15;91(6):372-376.より

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補足;Am Fam Physician. 2004 Oct 1;70(7):1279-87.より

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伝染性単核症の診断に用いる検査の感度・特異度:

BMJ. 2015 Apr 21;350. より

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治療:

グルココルチコイドの投与は、支持する文献は少ないが臨床経験からは、上気道閉塞・溶血性貧血・血小板減少などの重症合併症を伴う場合に役立つ可能性がある。

アシクロビルは有益性なし。バラシクロビルはEBV量の口腔内唾液への減少するかもしれないが、現在のところ有益性がある結果なし