小児総合診療医のひとりごと

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B型肝炎について

B型肝炎のワクチン接種が2016年10月から1歳になるまでの小児に定期予防接種化された

小児B型肝炎診療指針と日常診療 日本小児感染症学会シンポジウム2009

B型肝炎では、C型肝炎と異なり小児でも肝硬変や肝細胞癌が発生する例があり注意深いフォローが必要。B型肝炎のを治療する際の治療目標は、肝臓の炎症を鎮静化し炎症の持続に伴う肝繊維化の進行、肝硬変および肝細胞癌の発生を防ぐことにある。治療に際しては肝炎の活動性と繊維化の評価のために肝生検が必須である。HBe抗原陽性のキャリアであれば、現実的な治療目標はHBe抗原の陰性化やHBe抗原・HBe抗体系のセロコンバージョン(HBe抗原消失およびHBe抗体出現)である。HBV感染が疑われる場合は、HBs抗原を検査する。HBs抗原陽性であれば、ALT含む生化学に加えHBV DNA量、HBe抗原、HBe抗体を検討する。急性肝炎を診断する際はIgMHBc抗体を測定する。近年では、父子感染が問題となっており、HBVキャリアの場合にも髭剃りや歯ブラシの共有など少量の血液感染を介して家族内発症することがある。

乳児期に全員ワクチンを接種する(Universal vaccinatin)ことは、わが国でも母子感染が激減していること、水平感染であってもキャリア化する、Genotype AのHBV感染が増加していることから水平感染防止が重要になっており、Unversal vaccinationは重要である。

 

HBVワクチンについて

10%前後に副作用が認められ、主な副作用は倦怠感、頭痛、局所の発赤、発赤、疼痛。B型肝炎ワクチンには2種類(化成研製、MSD社製)あり、MSD社のワクチンバイヤルにはラッテクスが用いられているためラテックス過敏症の患者者には注意が必要である。

一般的な予防接種:

対象は本年4月以降に生まれる0歳児で、標準接種スケジュールは生後2ヶ月と3ヶ月、7~8ヶ月の3回接種。

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通常、0.5ml(10歳未満は1回0.25ml)ずつを4週間隔で2回、1回目の接種から20-24週後に1回の計3回を皮下または筋肉内に接種します。