朝活研修医(総合診療科、小児科)in 温泉県

温泉県で総合診療科・小児科をしながら地域中核病院で勤務する研修医のブログ

NEJM :大理石骨病 (Osteopetrosis)

Osteopetrosis

(NEJM IMAGES IN CLINICAL MEDICINE)

N Engl J Med 2017; 376:e34

 

6歳の女の子。歯が1本しか生えず歯科医を受診。聴力障害、2歳で視力障害、前頭部隆起、高眼圧、低身長を有していた。

採血:Ca 5.7mg /dl(正常範囲:8.7~10.3mg/dl)、PとALPは正常。

CT:頭蓋骨のび漫性肥厚あり(パネルA、矢印)。

手首Xp:硬化帯と半透明帯が交互にあり(パネルB、矢印)。

 (大理石骨病の画所見:画像診断まとめ, 三角フラスコ変形:エルレンマイヤー・フラスコ変形)

 

骨密度の増加を特徴とする稀な遺伝子疾患。典型的には、遺伝子の突然変異が、破骨細胞機能の障害および骨吸収の障害をもたらす。

合併症:頭蓋神経圧迫、脆弱骨、骨髄不全

治療:カルシトリオールが開始、患者はインターフェロンγ-1b療法も投与を薦めている。

 

【大理石病の日本語概説】

大理石病の概要:難病情報センター

小児慢性特定疾患センター

 

【骨病理の比較】
          Ca   P   AlP  PTH  コメント
骨粗鬆症     正常  正常  正常  多様  骨量の減少
大理石骨病    正常  正常   上昇   正常  分厚い濃い骨
骨軟化症(くる病) 減少  減少  多様  上昇  柔らかい骨
嚢胞線維性骨炎 上昇  減少  上昇   上昇  褐色腫瘍
Paget 骨病   正常  正常  多様   正常  異常な骨構造

【鑑別診断】
 高ビタミンD症, 副甲状腺機能低下症, Paget 病, 乳癌または前立腺癌のびまん性骨転移, フッ素, 鉛, ベリリウム中毒, 骨髄線維症, 鎌状赤血球症, 白血病

 

再生不良性貧血とPNH血球(CD59-、CD55-)

 

Minor population of CD55-CD59- blood cells predicts response to immunosuppressive therapy and prognosis in patients with aplastic anemia

【目的】

後天性再生不良性貧血患者におけるPNH血球の臨床的意義を研究

【方法】

再生不良性貧血と診断された122人の末梢血CD59-,CD55-の顆粒球・赤血球数(PNH型血球)を定量し、免疫抑制療法の反応性とPNH血球数の関係を調べた。

【結果】

フローサイトメトリーで、0.005~23.1%にGPI膜タンパク欠損を認めた再生不良性貧血の患者は68%であった。そのうち、顆粒球と赤血球療法にPNH型血球を認めたのは83%、顆粒球のみ15%、赤血球のみ2%であった。

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抗胸腺細胞グロブリン(ATG)+ シクロスポリン(CsA)療法に反応して、PNH血球陽性患者では91%でPNH型血球が増加した。PNH血球陰性患者では48%であった。

 

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PNH 血球陽性患者では5年間でPNH患者(12%)よりも有意に高い無治療失敗生存率(64%)が得られ、全生存率は群間で同等であった。

PNH型および正常型血球の数は、免疫抑制療法に応答し、PNH血球陽性患者で平行して増加し、これらの血球は免疫治療に対して同等に感受性であると思われた。

これらの結果は、PNH型血球が再生不良性貧血患者で、免疫抑制療法に対する反応性および良好な予後を予測するマーカーであることを示している。さらに、PNHクローン増殖を可能にする造血幹細胞に対する免疫攻撃は、再生不良性貧血の発症時にのみ起こり得る。

(PNH型赤血球は健常人でも0.1%で検出される。)

超音波検査(体表エコー)は壊死性筋膜炎の鑑別に有用か?

 

Ultrasonographic screening of clinically-suspected necrotizing fasciitis

Acad Emerg Med 2002 Dec;9(12):1448-51.

 壊死性筋膜炎の超音波検査の有用性について

【目的】

壊死性筋膜炎における超音波検査の精度を決定する。

【方法】

前向き観察研究、対象は1996年から1998年に救急外来を受診した四肢の壊死性筋膜炎疑い患者。全患者に超音波検査を実施。

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壊死性筋膜炎の超音波診断基準:「筋層と皮下組織に4㎜以上の液体貯留があり、びまん性の肥厚を認める」とし、対側の四肢とも比較した。最終的な診断は壊死性筋膜炎の病理学的検査によって決定した。

 

【結果】

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62名の患者についてデータを収集。そのうち17名(27.4%)は壊死性筋膜炎であった(他は、39人が蜂窩織炎・4人が深部静脈血栓症、2人が筋炎)。

超音波検査の感度:88.2%、特異度:93.3%、陽性的中率:83.3%、陰性的中率:95.4%だった。壊死性筋膜炎の診断精度は91.9%であった。

【結論】

超音波検査は筋膜炎診断に有用である。→研究限界:台湾の1施設研究、対象は四肢の壊死性筋膜炎のみ。

 

Diagnosis of Necrotizing Faciitis with Bedside Ultrasound: the STAFF Exam

West J Emerg Med. 2014;15(1):111–113.

壊死性筋膜炎における超音波検査のポイント:STAFF

壊死性筋膜炎の初期段階は、蜂巣炎および丹毒などの軟部組織感染と臨床的に区別がつかず、早期診断が困難になる。CTやMRIは時間がかかる(場合によってはすぐ利用できない)。皮下の肥厚(subcutaneous thickening)、空気(air)、および筋内の液体貯留(fascial fluid)、略してSTAFFをベッドサイドで評価し、迅速に診断された壊死性筋膜炎の1例を経験した。ただし、十分な感度がないため診断の除外はできない。臨床的に疑うか、超音波検査の所見はないか、感度の高いCTやMRIの実施、進行例では外科的介入の実施が必要である。

 

Cellulitis, A Review

JAMA July 19, 2016 Volume 316, Number 3

蜂窩織炎の画像検査に関して:抜粋

壊死性筋膜炎の初期段階は、蜂巣炎および丹毒などの軟部組織感染と臨床的に区別がつかず、早期診断が困難になる。CTやMRIは時間がかかる(場合によってはすぐ利用できない)。

超音波検査は、蜂窩織炎の診断のためではなく膿瘍などドレナージが必要な液体貯留などの重症感染の区別に役立つ。骨髄炎も蜂窩織炎に合併するので必要があればMRI/CTを行う。MRIやCTは壊死性筋膜炎と化膿性筋炎の鑑別にも役立つ。壊死性筋膜炎におけるCTの陰性的中率は100%、陽性的中率は76%で壊死性筋膜炎のうちCTでガス像を認めたのは36%であった。

蜂窩織炎深部静脈血栓症の低リスク(発生率:3.1%)、圧迫超音波検査は蜂窩織炎において深部静脈血栓症のRule outするためのCommonな検査である。ただし臨床的に強く疑われなければRoutineで行う必要はない。

 

Up to date:クループ症候群のマネージメント

クループ症候群のマネージメント

Up to date

『Croup: Approach to management』

Literature review current through: Mar 2017.

 

大切なところだけ抜粋

 

【はじめに】

クループ喉頭気管支炎)は、吸気性喘鳴、犬吠様咳嗽、嗄声を特徴とした呼吸器疾患である。

典型的には6か月から3歳までに起こり、主にパラインフルエンザウイルスに起因する。

クループを起こすウイルスに特別な治療法はない。薬物治療は、気道浮腫を軽減するするために行われる。コルチコステロイドやエピネフリン吸入は治療の基本である。

 

【電話による取り分け】

医師の診察が必要かを評価する。

医師評価が必要な状態は下記。下記がなければ自宅管理可。

・安静時の吸気性喘鳴

・急速な進行(Ex:12h以内に上気道閉塞症状がある)

・口腔内唾液を流す

・気道異常の既往(Ex:声門下狭窄、声門下血管腫、挿管既往など)

・中~重症のクループ既往

・呼吸不全になりやすい(Ex:神経筋障害、気管支肺形性異常)

・親が安心できない

・長期症状(3-7日以上)、クループと思えない非典型的な症状を有する

 

クループ重症度スコア】

Westlyクループスコア:

喘鳴

なし:0点,聴診すると聞こえる:1点,聴診器なしでも聞こえる:2点

陥没呼吸

なし:0点,軽度:1点,中等度:2点,高度:3点

空気の入り

正常:0点,低下:1点,極度の低下:2点

チアノーゼ

なし:0点,興奮するとあり:1点,:安静時もあり:2点

意識状態

正常:0点,異常(混乱、興奮):5点

2点以下:軽症 3-6点:中等症 7点以上:重症

軽症のクループ:Westlyスコア2点以下、安静時の吸気性喘鳴がない(泣いている時はある)、犬咳様咳嗽、嗄声、陥没呼吸がない。

 

【家庭での治療】

ミスト療法、解熱療法、経口水分摂取

ミスト療法:シャワーから温水を流して発生させた上記を吸わせる。

 →クループスコアをわずかに改善、子供と親に安心感を与える可能性あり(1)

軽症クループは、夜寒い空気を吸わせると改善することもある。

 

【外来治療】

不安の増加は、クループを悪化させうるので注意。

軽症

経口デキサメタゾン(0.15-0.6㎎/㎏、最大10㎎)単回投与。

軽症クループに対するRCTで経口デキサメタゾン単回投与が再受診の低下、症状持続期間の短縮、睡眠の改善、親のストレス軽減することが示された(2) (3)

通常、エピネフリン噴霧は必要ない。

 

中等症~重症

・加湿、解熱剤投与、水分摂取、酸素投与なども必要である。

デキサメタゾン経口内服(0.6㎎/㎏単回、最大10㎎)の投与を推奨する。

経口摂取が不可なら経静脈的投与を行う。ネブライザーによるブデゾニド単回吸入(2㎎)は、内服できない場合の代替選択肢である

中等症から重症に投与した場合、治療後6時間のクループスコアの改善、再受診・再入院の減少、病院滞在期間の短縮が示されている(4)

 ステロイド反復投与は、日常的に必要ではなく副作用を増やす可能性がある、クループに対する24時間以上のステロイド投与を支持するStudyはない。漫然と反復投与するのではなく、中等症以上が持続する場合は、気道閉塞の他の原因を考える。

プレドニゾロンデキサメタゾン代替療法として、経口プレドニゾロン(2mg/kg/日 3日間)と示唆する文献あり

*デカドロンエリキシル0.01% 1ml中にデカドロン0.1㎎含有

 

エピネフリン吸入

L-エピネフリンを1:1000希釈の容量→(商品名:ボスミン外用液0.1%)を0.5ml/㎏(MAX:5ml)として投与する(15分間投与)

吸入後30分語のクループスコアの改善、入院期間の短縮が示されている。

通所は30分以内に症状が改善し2時間続く。吸入を開始して呼吸状態を3-4時間観察するべきである。投与は15-20分ごとに繰り返すことができ、2-3時間で3回以上投与する場合は心臓モニタリングしながら行う。

 

 

【家庭への帰宅】

下記基準を満たせば帰宅可能

・安静時の吸気性喘鳴がない、SPO2異常なし、チアノーゼなし、意識清明など

24時間以内にフォローアップを行う。

【非典型的経過】

通常は36時間以内に退院可能である。通常は3日以内に症状が改善するが1週間まで続くこともある。期待する改善がない場合は、合併症の可能性を疑う。気管支肺炎の精査や頸部の軟部組織評価、耳鼻咽喉科へのコンサルトも考慮する。

【合併症】

気胸、肺水腫、肺気腫、気管支肺炎などの細菌二次感染

 

外来・救急部でのクループ症候群の管理

画像

時間がない時の参考:日本語のクループ治療についてのブログ

 

虫垂炎の手術をすべきか?薬物療法でもよいのか?

Efficacy and Safety of Nonoperative Treatment for Acute Appendicitis: A Meta-analysis

 Pediatrics.  2017, Mar, 139(3)

【背景

虫垂切除術の代替治療として、小児における急性単純虫垂炎抗生物質単独による非手術療法(Nonoperative treatment:NOT)が提案されている。

【目的】

既存文献に基づいて非手術療法の安全性と有効性を判断する。

【研究対象】

子供のAUAでないと報告しているすべての記事。

【結果】

10文献で、非手術療法を受けた413人の子供を報告されていた。RCT1文献を含む6文献で虫垂切除術を受けた小児と比較していた。

97%の小児において、非手術療法は初期治療として有効だった(95%信頼区間:96%~99%)。虫垂切除術を受けた小児では、病院滞在の長さは、非手術療法と比較して短かった(平均:0.5日、95%信頼区間:0.2~0.8、P=0.02)。

フォローアップの最終報告(期間8週~4年)では、非手術療法の82%(95%信頼区間:77%~87%)では虫垂切除術が必要なく効果的であった。

再発性虫垂炎は14%(95%信頼区間:7%~21%)で発生した。合併症および合計入院期間のは、非手術療法と虫垂切除術で同等であった。

 

研究の限界:前向き無作為試験ではない。

【結論】データから、非手術療法は安全であると示された。

これは、急性単純虫垂炎の97%において初期治療として有効と考えられ、虫垂炎再発率は14%であった。

長期的な臨床転帰および非手術療法の費用対効果は、大規模な無作為試験でさらに評価する必要がある。

血清クレアチニン濃度が上昇したらACE阻害薬、ARBは中止すべきか?

Serum creatinine elevation after renin-angiotensin system blockade and long term cardiorenal risks: cohort study.

BMJ 2017;356:j791 | doi: 10.1136/bmj.j791

 

【目的】

ACE阻害薬またはARB治療開始後の血清クレアチニン濃度上昇と長期的な心腎転帰を検討する。

【方法】

1997~2014年における英国のClinical Practice Research DatalinkおよびHospital Episode Statisticsの記録を用いたコホート研究。ACE阻害剤またはARBによる治療を開始した122363人が対象。

治療開始後に30%以上のクレアチニン増加を有する患者およびクレアチニン増加が30%未満の患者において、末期腎疾患、心筋梗塞心不全、死亡率を比較した。クレアチニン増加10%ごとの累積死亡率も比較した。

【結果】

クレアチニンが30%以上増加した2078人(1.7%)のうち、女性、高齢者、心腎疾患、および非ステロイド性抗炎症薬、ループ利尿薬、カリウム保存利尿薬を使用していた人の割合が高かった。

クレアチニンの30%以上増加は、30%未満の増加に比べて、全アウトカム(末期腎不全、心筋梗塞心不全、死亡)で調整発生率比が上昇した;末期腎不全3.43 (95% confidence interval 2.40 to 4.91)、心筋梗塞1.46 (1.16 to 1.84)、心不全1.37 (1.14 to 1.65)、死亡1.84 (1.65 to 2.05)。

 

 Figure:

Cumulative mortality according to levels of creatinine increase after renin-angiotensin system blockade

Figure2

クレアチニン濃度の増加に関する分類(Cre:10%未満、10-19%、20-29%、30-39%、40%以上)で、全アウトカムにおいてクレアチニンが増加するほど累積死亡率の増加を認めた。

 

Figure:

Cardiorenal risks associated with levels of creatinine increase after renin-angiotensin system blockade

Figure3

クレアチニン30%以内の増加例は、全有害心腎転帰(末期腎不全、心筋梗塞心不全、死亡)の発生率比増加と関連していた。

死亡はCre:10%未満を基準とすると、Cre:10~19%増加で1.15 (1.09 to 1.22)、Cre:20-29%増加で1.35 (1.23 to 1.49)であった。

【結論】

ACE阻害剤または治療開始後のクレアチニン増加は、ガイドラインで推奨される治療中止基準である治療開始後Cre:30%増加 を下回っていても、有害心腎転帰と段階的に関連した。

 

クレアチニン上昇群は高齢・心腎疾患の割合が高いので、中止すべきか?に関してはガイドラインに従って中止を検討し今後の研究次第で変わってくるのではないだろうか?

PCT高値は菌血症の診断に役立つか?

菌血症診断におけるプロカルシトニンの有効性の検討

日集中医誌 2017;24:115-20

【目的】菌血症におけるプロカルシトニン(procalcitonin, PCT)の初期診断での有用性について、後方視的に解析した。

【方法】2012年11月から2013年6月までの8ヶ月間において当院で血液培養検査が陽性となりPCTが測定されていた132例を調査対象とし、菌血症群と擬陽性群(コンタミ)に分け、検出菌・PCTおよびC反応性蛋白(CRP)との関連性を評価した。

【結果】感染症専門医により、菌血症102例,contamination(擬陽性)30例と判断された。菌血症と擬陽性でPCT(ng/ml)とCRP(mg/dl)の中央値は、それぞれ2.8と0.3,13.2と7.0であり、菌血症で有意に高かった(P<0.001,P=0.020)。

ROC-AUC(receiver operating characteristic-area under the curve)(95%CI)は、PCT 0.76(0.65~0.86),CRP 0.64(0.52~0.76)で2つのマーカー間に有意差はなかった。

一方、菌血症の原因菌別でグラム陽性菌(n=48)とグラム陰性菌(n=54)のPCTは、それぞれ2.1と3.7で有意差を認めなかった(P=0.123)。

【結論】PCTはCRPと比較して真の菌血症と擬陽性の鑑別に役立つと評価された。しかし、菌血症におけるグラム陽性菌グラム陰性菌を鑑別できるものではなかった。ROC-AUC解析ではPCTとCRPは共に菌血症として有用なマーカーであると評価された。

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PCTとCRPは菌血症群で有意に高い。

GP菌血症とGN菌血症で、CRPはGN菌血症群で有意に高い。PCTは両群で有意差なし。

PCTは

 カットオフ値 0.5ng/ml ⇒感度:79%、特異度:57%

 カットオフ値 1.0ng/ml ⇒感度:74%、特異度:73%

 カットオフ値 2.0ng/ml ⇒感度:62%、特異度:80%

で明確なカットオフ値は示せなかった。